一週間でいいと言われた仕事は一週間かかり、今日中と言われると今日中に終わる。
そんな経験は珍しくありません。
C. Northcote Parkinsonは1955年の文章を「Work expands so as to fill the time available for its completion」という有名な一文で始めました。
いわゆるパーキンソンの法則です。
これは自然法則ではなく、鋭い観察から始まった
「法則」という名前ですが、物理法則のように必ず成立するものとして扱うべきではありません。もともとは官僚組織や仕事の膨張を風刺的に論じた文章です。
それでも、「使える時間が仕事の大きさに影響する」という観察は、仕事を設計するうえで面白い視点を与えます。
締切が長いと、品質だけでなく仕事そのものが増える
時間があれば、調査をもう少し増やす。資料をもう一枚足す。表現を何度も直す。関係者を増やす。
それらが本当に成果を高めるなら問題ありません。
でも、「できること」と「必要なこと」は違います。これはオッカムの剃刀の「本当に必要か」という問いにもつながります。
だからといって、締切を無茶に短くすればいいわけではない
旧記事では「期限を短くすれば効率が上がる」とかなり単純に書いていました。
しかし短すぎる期限は、検証不足、品質低下、長時間労働、重要だが緊急ではない仕事の切り捨てにつながります。
時間を削ることと、無駄を削ることは同じではありません。
時間より先に「完成」を定義する
対策として面白いのは、締切だけでなく「何ができたら終わりか」を先に決めることです。
誰に、何を伝え、どの判断につなげる資料なのか。記事なら、読者のどの疑問に答えれば十分なのか。
完成条件が曖昧な仕事は、時間がある限り改善点を見つけられます。
AIで作業が速くなっても、仕事が減るとは限らない
生成AIで資料作成が半分の時間になったとして、その半分が自由時間になるとは限りません。
「では10案つくろう」「もっと分析しよう」と要求水準や仕事量が膨らむこともあります。
生産性向上を、本当に余白や重要な仕事へ振り向けるには、ツールだけでなく仕事の範囲を設計する必要があります。
仕事を時間いっぱいに広げない
パーキンソンの法則から得たいのは、「急げ」という教訓ではありません。
時間があるから増やした仕事と、成果のために必要な仕事を区別する。
そのための問いとして使う方が、今の働き方には合っていると思います。
出典メモ:C. Northcote Parkinsonは1955年にThe Economistで発表した文章で「Work expands so as to fill the time available for its completion」と記しました。本記事ではこれを普遍的な自然法則としてではなく、仕事や組織の膨張を考えるための観察・警句として扱っています。


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