「恋というものは心から心に至るもっとも短い道である。直線である。」
モーリス・ブデルの名言として日本語で紹介される一節です。フランス語圏では、より簡潔な次の形が広く流通しています。
Le plus court chemin d’un coeur à un autre : la ligne droite.
フランス語でもMaurice Bedel名義で定着している
フランス語の引用サイトだけでなく、Apple Podcasts上のフランス語番組「Podcourts」も、この一文をMaurice Bedelの言葉として番組紹介に使用しています。
引用データベースでも同じフランス語がMaurice Bedel名義で掲載されています。
それでも原典は確認できない
今回の調査では、この一文がブデルのどの小説・随筆・講演・書簡に現れるのか、具体的な作品名や初出箇所を特定できませんでした。
フランス語の定型句が広く定着していることは、帰属の手掛かりにはなります。しかし、転載が繰り返されれば誤った人物名も定着し得ます。そのため「フランス語でも広く使われている」ことだけを原典証明にはしません。
日本語では「恋」が加わっている
フランス語の coeur à un autre は「一つの心から別の心へ」という比喩で、文中に「恋愛」を直接意味する語はありません。日本語の「恋というものは」は、意味を恋愛へ限定した意訳・紹介文の可能性があります。
原典が確認できるまでは、「ブデルが恋愛論としてこの言葉を語った」と背景を作るのではなく、流通するフランス語と日本語の差そのものを記録する方が正確です。
出典状態
要検証。フランス語でもMaurice Bedel名義で広く定着していますが、今回確認した範囲では本人著作・発言の具体的な初出箇所を特定できませんでした。日本語には「恋」という意味の追加も見られます。