キャリアは一本道でなくていい。異業種・異職種を歩いて分かったこと

キャリアは、最初から一本の線だったわけではない

これまで私は、複数の会社や職種を経験してきました。その時々では「次はこれをやりたい」と考えて選んできましたが、最初から現在までのキャリアを設計できていたわけではありません。

むしろ、振り返ってから初めてつながった経験の方が多いです。

金融の営業で顧客と数字に向き合ったこと。ITの世界で技術を学んだこと。異なる組織や立場で仕事をしたこと。コンサルティング的に課題を整理したこと。そしてマーケティングで、顧客・営業・技術・事業をつなぐこと。

職種名だけを並べれば、一貫性がないようにも見えます。でも今は、その「一見バラバラな経験の組み合わせ」こそが自分の強みになりつつあると感じています。

転職するたびに、「専門性が薄くなる」不安があった

複数回転職すると、面接で理由を聞かれます。当然だと思います。採用する側からすれば、なぜ環境を変えたのか、また短期間で辞めないか、これまでの経験が次の仕事にどうつながるのかを知りたいからです。

自分自身も、「一つの会社や職種を長く続けた人に比べて、専門性が浅いのではないか」と考えたことがあります。

これは複数の領域を経験するキャリアの弱点です。幅が広いことを、そのまま強みだと思い込んではいけません。何でも少し知っているだけでは、仕事上の価値になりにくいからです。

転職回数より、「なぜ移ったか」を説明できるか

転職経験を重ねて感じたのは、回数だけを気にしてもあまり意味がないということでした。

重要なのは、それぞれの選択に自分なりの理由があり、前の経験を次でどう使ったのかを説明できることです。

「嫌だったから辞めた」で終われば、経験は点のままです。「前の仕事でこれを知り、次はこれを学びたくなった」「この経験が次の役割でこう役立った」と言葉にできれば、点と点の間に線が引かれます。

もちろん、すべての転職に美しいストーリーが必要なわけではありません。環境から離れるための転職もあります。ただ、時間が経ったあとで、自分の選択を自分の言葉で意味づけることはできます。

異業種・異職種を経験したから見えるものもある

一つの領域を深く掘る人には、その人にしか見えないものがあります。一方、複数の領域を移動した人には、境界に立ったから見えるものがあります。

営業を経験すると、マーケティング施策が現場でどう受け取られるかを想像しやすくなります。技術を学ぶと、実現可能性を無視した企画を考えにくくなります。異なる規模や文化の組織を経験すると、「この会社では常識」が他社では常識でないことにも気づきます。

私の場合、次第に「一つの機能を極める」より、異なる専門性をつなぎ、事業が前へ進む仕組みを考える仕事に関心が集まっていきました。

幅広い経験を強みにするには、軸が必要になる

ただ職種を転々とするだけで、独自性が生まれるわけではありません。経験が増えるほど、「自分は結局何をする人なのか」を考える必要があります。

私自身も、その答えは何度も変わりました。営業、IT、コンサルティング、マーケティングという肩書きではなく、もっと抽象度を上げて考えると、自分が繰り返し興味を持ってきたのは「複雑なものを理解し、人や組織の間をつなぎ、事業が伸びる仕組みをつくること」でした。

そう捉えると、以前はバラバラに見えていた経験が、一つの方向へ集まり始めます。

キャリアは「設計」だけでなく「編集」できる

20代の頃、将来のキャリアを完璧に設計しなければならないように感じることがありました。でも、未来の仕事や自分自身の変化まで正確に予測することはできません。

だから今は、キャリアには設計だけでなく編集という考え方が必要だと思っています。

すでに経験したことは変えられません。でも、その経験から何を持ち帰るか、次に何と組み合わせるか、どんな意味を与えるかは変えられます。

一見遠回りだった経験が、数年後に別の経験とつながることもあります。

一本道ではないからこそ、つくれるキャリアもある

一つの領域を深く掘り続けるキャリアも素晴らしい。一方で、複数の領域を移動しながら、自分だけの組み合わせをつくるキャリアもあります。

後者を選ぶなら、転職回数を正当化することより、「それぞれの場所で何を得て、それらが今どうつながっているか」を考え続ける方が大切です。

キャリアは、最初から美しい一本線である必要はありません。点が増えたあとで、自分なりの線を引くこともできます。

これまでの経験を組み合わせて仕事を考えるなら、キャリア・仕事の関連記事へ。マーケティングやGTMという具体的な実務では、BtoBマーケティングのガイドにも整理しています。

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