東京に来たことは、人生の大きな分岐点だった
東京に来たばかりの頃、この街が好きだったわけではありません。人は多い。電車は混む。家賃は高い。知っている人も少ない。地元で暮らしていた頃とは、生活の前提がまるで違いました。
それでも長く暮らして振り返ると、上京したことは自分の人生を大きく動かした選択の一つでした。「東京だから人生が良くなる」という話ではありません。東京という巨大な街に放り込まれたことで、自分が何を求め、何を苦手とし、どう生きたいのかを考える機会が増えた、という方が近いです。
選択肢が増えると、自分で選ばなければならなくなる
東京に来て強く感じたのは、仕事も人も場所も、とにかく選択肢が多いことでした。さまざまな業界や職種があり、イベントや学びの場もあり、昨日まで知らなかった世界の人と出会うことがあります。
選択肢が多いことは自由ですが、同時に難しさでもあります。誰かが正解を決めてくれるわけではありません。何を選び、何を捨てるのかを自分で決める必要があります。
結果として私は、仕事やキャリアについて以前より頻繁に考えるようになりました。環境を変えること、新しい領域を学ぶこと、自分の得意不得意を見直すこと。東京の選択肢の多さは、自分の人生を自分で編集する感覚につながった気がします。
人の多さは、孤独と自由の両方を連れてくる
東京には驚くほど多くの人がいます。それなのに、上京直後は孤独を感じることがありました。人が多いことと、自分の居場所があることは別なのだと知りました。
一方で、その距離感に救われることもあります。周囲と違う生き方をしていても、それほど珍しくない。仕事を変える人も、新しいことを始める人も、何かを諦めて別の道へ行く人もいます。
「こう生きなければならない」という圧力から少し離れ、自分なりの生活をつくりやすい。それは東京で暮らして感じた大きな魅力の一つです。
便利さより、知らなかった世界に触れられたこと
交通、店、文化施設、イベント。東京の便利さを挙げればきりがありません。ただ、今振り返って一番大きかったのは、便利になったことより「自分が知らなかった世界が大量に存在する」と実感できたことでした。
違う仕事をしている人、違う価値観を持つ人、専門分野を深く掘っている人。そういう人たちに触れるたび、自分の常識が少しずつ相対化されました。
世界が広がるというのは、単に知識が増えることではありません。「今いる場所だけが世界ではない」と身体感覚で分かることなのかもしれません。
もちろん、東京が正解だったとは言い切れない
東京には疲れるところもあります。人の多さ、移動、住居費、情報量、仕事の速度。選択肢が多いからこそ、他人と比較し続けることもできます。
田舎には田舎の良さがあり、東京には東京の良さがあります。どちらが優れているという話ではありません。実際、長く東京に暮らしたからこそ、以前は当たり前だった静けさや余白の価値も分かるようになりました。
「都会の喧騒から」という名前に残ったもの
このサイトを「都会の喧騒から」と名付けた背景にも、東京で暮らしながら考えてきたことがあります。
都会には情報も機会も刺激もあります。ただ、その喧騒の中にいると、自分が本当は何を考えていたのか分からなくなることもあります。だからこそ、少し立ち止まり、言葉にして考える場所が欲しかった。
上京したことそのものより、上京したあとに迷い、考え、選び直してきたこと。その過程が、このサイトの原点の一つなのだと思います。
まとめ
上京して良かったかと聞かれれば、私は良かったと思っています。ただし、それは東京が万能だからではありません。
知らない環境へ移り、自分の常識が揺さぶられ、選択肢の多さに迷いながら、自分で人生を選ぶ感覚を持てた。その経験に価値がありました。
場所を変えれば人生が自動的に変わるわけではありません。それでも、ときには環境を変えることが、自分を考え直すきっかけになります。私にとって東京は、そういう場所でした。