はじめに
「常識はそれほど一般的ではない(Common sense is not so common)」。ヴォルテールの名言として非常に有名です。
しかし、この簡潔な英語表現をヴォルテールがそのまま書いたわけではありません。『哲学辞典』の「常識」の項目には、その核になった文章があります。
原文は「常識は非常に稀だ、と人は時々言う」
ヴォルテールは「On dit quelquefois, le sens commun est fort rare」と書きます。意味は「人は時々、常識は非常に稀だと言う」ほどです。
重要なのは冒頭の「人は時々言う」。ヴォルテールはキャッチコピーとして断言して終わるのではなく、その言い回しを取り上げて「それは何を意味するのか」と考察を始めます。
問題は「誰にも常識がない」ことではない
続く議論では、ある分野では理性的に判断できる人が、別の分野では偏見によって大きく誤ることがあると説明します。
つまり「世の中はバカばかりだ」という皮肉ではありません。同じ人の中でも、理性が働く領域と偏見に止められる領域が共存するという観察です。
まとめ
「Common sense is not so common」は、ヴォルテールの文章を短く磨いた後世の表現と考えるのが適切です。
原典に戻ると、単なる毒舌ではなく「なぜ人はある問題では合理的なのに、別の問題では偏見に支配されるのか」という、より面白い問いが現れます。