【用語解説】「アンダーマイニング効果」の意味と使われる文脈・状況、関連知識

はじめに

「アンダーマイニング効果」という言葉は、最近の心理学や経済学の分野でよく耳にするようになりました。この用語は、人が内発的な動機（興味や楽しさ）で行っていた活動が、外的な報酬（お金や評価）によって逆にその動機を損なう現象を指します。この記事では、アンダーマイニング効果の意味とその文脈での使われ方、関連する知識について詳しく解説します。

アンダーマイニング効果の意味

アンダーマイニング効果とは、内発的な動機（自発的な興味や楽しさ）が外的報酬（例えばお金や称賛）によって削がれる現象です。具体的には、元々楽しんでいた活動が、報酬や監視によってその活動の本来の楽しさを失ってしまうことを指します。例えば、子供が絵を描くのが好きだったのに、お小遣いをかけた報酬制度が導入されると、絵を描くこと自体の楽しさが薄れてしまうことがこれに当たります。

アンダーマイニング効果が使われる文脈・状況

アンダーマイニング効果は、主に教育やビジネス、日常生活において観察されます。教育の場では、学びへの内発的な動機が、点数や評価によって損なわれることがあります。ビジネスでは、仕事に対する熱意が、昇進やボーナスなどの外的報酬によって逆に減少することがあります。日常生活でも、趣味や好きなことが報酬を求めるようになると、その活動自体が楽しめなくなる場合があります。この現象は、内発的動機が持つ強い力を理解し、適切に管理する必要性を示しています。

アンダーマイニング効果に関する関連知識

アンダーマイニング効果は、心理学者デシとライアンが提唱した「自己決定理論」に関連しています。この理論では、人間の動機は内発的と外発的に分けられ、内発的動機は自己決定と関連する深い満足感をもたらすとされています。また、アンダーマイニング効果を理解するためには、「報酬の種類」にも注目する必要があります。外的報酬が必ずしも内発的動機を削ぐわけではなく、報酬の形式やその与え方が重要です。報酬が活動の目的に合致し、内発的動機を補完する形で提供されれば、アンダーマイニング効果を最小限に抑えることができます。