「楽しめるときには楽しめ、耐えるときには耐えよ」ゲーテ|原文・意味・出典

「楽しめるときには楽しめ、耐えるときには耐えよ」の原文

「楽しめるときには楽しめ。耐えなければならないときに耐えろ」として知られる言葉には、ゲーテの原文があります。1818年12月18日の仮面劇「Maskenzug」に置かれた一節です。

Fürwahr, es wechselt Pein und Lust.
Genieße, wenn du kannst, und leide, wenn du mußt.
Vergiß den Schmerz, erfrische das Vergnügen.

冒頭は「まことに、苦しみと喜びは移り変わる」。続く二行目が、広く引用される「楽しめるときには楽しみ、苦しまなければならないときには苦しめ」に当たります。日本語の「耐えろ」は、leide(苦しむ・耐える)を人生訓として読みやすくした訳と考えられます。

喜びだけを求める言葉ではない

この一節のポイントは、「楽しめ」という部分だけではありません。その直前に「苦しみと喜びは移り変わる」とあり、楽しめる時期と苦しまざるを得ない時期の両方が置かれています。

人生を常に快適な状態へ変えられる、と約束しているわけではありません。喜びが来れば受け取り、避けられない苦しみが来ればそれも引き受ける。変化する二つの状態への態度を短く示した言葉です。

「我慢し続けろ」と読む必要もない

一方で、「苦しい状況なら黙って耐え続けるべきだ」という意味に固定するのも行き過ぎです。原文は wenn du mußt、つまり「そうしなければならないとき」と条件を付けています。

さらに次の行では「苦痛を忘れ、喜びを新たにせよ」と続きます。苦しみそのものを価値あるものとして称賛するというより、苦と楽が交替する中で、喜びを受け取れるときにはきちんと受け取る姿勢が見えます。

ストア派とエピクロス派を思わせる読み方

ゲーテ研究では、この一節を、避けられないものを引き受けるストア派的態度と、現在の喜びを享受するエピクロス派的態度を組み合わせたものとして論じる例があります。

もちろん、短い詩句を一つの哲学体系へ還元する必要はありません。ただ、「楽しめ」と「耐えよ」が対立せず一つの文に並んでいる理由を考える手がかりにはなります。

現代へ持ち帰るなら

現在の生活へ応用するなら、「いつか状況が完璧になったら楽しもう」と喜びを延期し続けないこと、そして避けられない困難がある時期には、そこに永遠に閉じ込められたと思わないこと。この二つを同時に考える言葉として読めます。

ただし、これは現代的な解釈です。原文が直接語っているのは、もっと簡潔な「苦しみと喜びは移り変わる」という人間経験のリズムです。

まとめ

「楽しめるときには楽しめ。耐えなければならないときに耐えろ」は、ゲーテの1818年の「Maskenzug」に対応する原文を確認できます。

一文だけを「今を楽しめ」という標語にするより、その前後にある「苦しみと喜びは移り変わる」「苦痛を忘れ、喜びを新たにせよ」まで読むと、言葉の輪郭はよりはっきりします。

出典メモ:Johann Wolfgang von Goethe, Maskenzug, 18. Dezember 1818。「Fürwahr, es wechselt Pein und Lust. / Genieße, wenn du kannst, und leide, wenn du mußt. / Vergiß den Schmerz, erfrische das Vergnügen.」

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