「不可能なものをすべて消去したあとに残ったものは、それがどれほどありそうになくても、真実でなければならない。」
コナン・ドイルの名言として紹介されることの多い言葉ですが、正確には小説『四つの署名(The Sign of the Four)』でシャーロック・ホームズがワトソンに語る台詞です。
出典は『四つの署名』
Project Gutenbergで公開されている原文では、ホームズが侵入経路を推理する場面で、次の考え方をワトソンに繰り返し説いています。
when you have eliminated the impossible whatever remains, however improbable, must be the truth
出典:Arthur Conan Doyle, The Sign of the Four|Project Gutenberg
作者コナン・ドイル本人の格言ではなく、ホームズの台詞
作者が書いた文章であることと、作者本人が自分の信条として発言したことは別です。この一節の話者はホームズです。
その区別をすると、この言葉は「コナン・ドイルの人生哲学」ではなく、ホームズという人物の推理法を象徴する台詞として読む方が作品に忠実です。
「ありそうにない」と「不可能」は違う
この台詞の面白さは、もっともらしい答えを選べと言っていない点です。排除できる不可能を一つずつ除いたあとに残ったものが、直感に反していても受け入れる。ホームズは、常識より証拠を優先します。
ただし現実の問題では、「本当にすべての可能性を列挙できたか」「不可能だと判断した根拠は正しいか」という別の問題もあります。この方法を万能な論理法則として使うより、作品内の推理姿勢として読むのが適切です。
出典状態
出典確認済み。『四つの署名』本文に確認できます。作者はアーサー・コナン・ドイル、作品内の話者はシャーロック・ホームズです。