はじめに
「困難なことは、扱えるように必要な部分へ分割せよ」。これはデカルト『方法序説』第2部にある、方法の四規則のうち第二の規則に対応する真正な文章です。
現代ではタスク分解やプロジェクト管理の格言として使いやすい言葉ですが、もともとは単なる仕事術ではありません。デカルトが確かな知識へ到達するための思考方法として提示した規則です。
第二の規則「分割」
デカルトは、検討する困難を、よりよく解決するために可能な限り、そして必要なだけ多くの部分へ分ける、と述べます。
重要なのは、ただ細かくすればよいということではありません。「解決するために必要なだけ」という目的があります。複雑なものを、理解可能な単位へほどいていくのです。
四つの規則の一つとして読む
この規則だけを切り出すと「大きな仕事は小さなタスクに分けよう」という教訓になります。しかしデカルトの方法は四つで一組です。
明証的でないものを真と受け入れない。困難を分割する。単純なものから複雑なものへ順序立てる。そして見落としがないよう十分に見直す。
分割は、思考を細切れにするためではなく、確実なものから秩序立てて組み直すための工程なのです。
まとめ
「困難を小さく分ける」は、真正なデカルトの方法論です。しかし本来の文脈は、効率化やタスク管理だけではありません。
複雑な問題を理解可能な部分へ分け、単純なものから順番に確かめ、最後に全体を見直す。第二の規則は、デカルトが「疑う」だけの哲学者ではなく、疑った後にどう知識を組み立て直すかを考えた哲学者だったことを示しています。