はじめに
「友人はゆっくり選べ、変えるにはさらにゆっくりとやれ」という言葉は、ベンジャミン・フランクリンがRichard Saunders名義で刊行した『Poor Richard’s Almanack』1735年版に確認できます。
原文は “Be slow in chusing a Friend, slower in changing.” 。現在の綴りなら “choosing” です。
真正なPoor Richardの警句ですが、これをフランクリン本人の特定の友情体験から生まれた言葉として説明する根拠はありません。
1735年版では独立した短い格言として現れる
この言葉は、長い友情論の結論として書かれたのではなく、暦の中に散りばめられた短い警句の一つです。
そのため「フランクリンは人生で裏切られた経験からこの教訓を得た」といった物語を後から足す必要はありません。
文そのものが示すのはシンプルです。友を選ぶときは急がず、一度友となった相手を変える判断は、それ以上に急がない。
「悪い友人とも縁を切るな」という意味ではない
後半の “slower in changing” を、「どんな関係でも我慢して維持せよ」と読む必要はありません。
格言が強調しているのは、関係を始める判断にも、終わらせる判断にも軽率にならないことです。危険な関係や明確な害がある場合まで、関係維持を義務づける文章ではありません。
現代に引き寄せるなら
SNSや仕事上のネットワークでは、人との接続も切断も短時間でできます。それでも、つながりの速さと信頼の形成速度は同じではありません。
この格言を現在へ使うなら、相手を早く「親友」「敵」と決めすぎていないか、感情の一回の揺れだけで長い関係を評価していないかを考える問いにはできます。
ただし、これは現代的な応用です。18世紀の原文にSNS時代の人間関係論が書かれているわけではありません。
まとめ
“Be slow in chusing a Friend, slower in changing.” は、『Poor Richard’s Almanack』1735年版に確認できる真正な警句です。
原典が短いからこそ、フランクリンの人生から架空の背景を補わず、友を選ぶことと、友を変えることの両方に慎重であれという対句として読むのが最も素直です。
出典メモ:Benjamin Franklin [Richard Saunders], Poor Richard’s Almanack (1735).
フランクリンとPoor Richardをさらに読む
ベンジャミン・フランクリン人物ページでは、印刷・科学・政治・外交と、真正な文章・誤帰属を横断できます。『Poor Richard’s Almanack』作品ページでは、年鑑の筆名、古いことわざの再利用、1758年の再編集まで含めて読めます。