フランクリン『Poor Richard』「生きるために食べよ、食べるために生きるな」|1733年掲載の古い格言

はじめに

“Eat to live, and not live to eat.”――「生きるために食べよ、食べるために生きるな」は、フランクリンの『Poor Richard’s Almanack』1733年版に実際に掲載されています。

ただし、この言葉もフランクリンの独創ではありません。食べることを生の目的にするな、という対句は古代から伝わり、英語でも16〜17世紀にはすでに複数の形が確認できます。

1733年『Poor Richard』に確認できる

フランクリンがRichard Saundersの筆名で刊行した1733年版には、短い格言群の一つとして “Eat to live, and not live to eat.” が置かれています。

したがって「フランクリンの本にはない」というわけではありません。フランクリンが実際に掲載した言葉であることは確認できます。

しかし思想の源流ははるかに古い

同じ発想は古代のソクラテスに帰される伝承や、古代ローマの修辞学文献にも見られます。英語圏でもフランクリン以前から「eat to live / live to eat」という対句がことわざとして使われていました。

つまり、「この人生哲学をフランクリンが自分の経験から生み出した」と説明するのは適切ではありません。

『Poor Richard』の特徴は、古い格言やことわざを大量に集め、時に言い換えながら、実用的で記憶しやすい形で再流通させたことにもあります。

「食事は楽しむな」という意味ではない

この対句は、食事そのものの楽しみを否定する科学的・医学的な指示ではありません。

言葉の構造は、手段と目的を逆転させるなという警句です。食べることは生を支えるが、生そのものを食欲へ従属させるな、という節度の教えとして長く使われてきました。

現代の健康法、ダイエット、消費社会批判などへ応用することはできますが、それらをフランクリン本人の具体的主張として付け加えない方が安全です。

まとめ

「生きるために食べよ、食べるために生きるな」は、『Poor Richard’s Almanack』1733年版に確認できるフランクリン掲載の格言です。

しかし、表現と思想はフランクリン以前から存在します。したがって、フランクリンが創作した名言ではなく、古い格言をPoor Richardが採用した例として読むのが正確です。

出典メモ:Benjamin Franklin [Richard Saunders], Poor Richard’s Almanack (1733). 先行する英語・古典語の格言系統あり。

1733年版の本文と帰属:『Poor Richard』1733年版公開テキストに Eat to live, and not live to eat. と掲載されています。ここで確認できるのは、フランクリンが筆名リチャード・ソーンダーズで発行した年鑑にこの句が収録された事実です。この格言を最初に考案した人物がフランクリンだという証明ではありません。食事の楽しみを否定する医学的な助言としてではなく、手段と目的を反転させた古い警句として読みます。出典ステータスの読み方。

フランクリンとPoor Richardをさらに読む

ベンジャミン・フランクリン人物ページでは、印刷・科学・政治・外交と、真正な文章・誤帰属を横断できます。『Poor Richard’s Almanack』作品ページでは、年鑑の筆名、古いことわざの再利用、1758年の再編集まで含めて読めます。

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