松下幸之助「百遍倒れたら百遍立ち上がれ」|『致知』2003年6月号の掲載と出典の限界

はじめに|何度でも立ち上がることと、同じ失敗を繰り返すこと

「百遍倒れたら百遍立ち上がれ。万策尽きたと言うな。策は必ずある」。この言葉は、松下幸之助の言葉として『致知』の紹介記事に掲載されている一節です。倒れても再び立つという響きは印象的ですが、最後の「策は必ずある」まで読むことで意味が変わります。

うまくいかないとき、つい自分の気持ちの弱さだけを問題にしてしまうことがあります。しかし、必要なのは気合の量ではなく、どの方法を見直すかという判断かもしれません。失敗を続けることと、次の方法を探すことは同じではないからです。

ただし、本人がこの文章を最初に語った会合や、最初に収録した著書の箇所までは特定できていません。出版社による引用の掲載先と、本人の初出を区別し、出典を過大に評価せずに読み解きます。

『致知』2003年6月号という掲載情報

致知出版社の「逆境を超える 松下幸之助の言葉」には、対象の一文が掲載され、『致知』2003年6月号という号数も明記されています。単に出どころのない名言サイトを繰り返すのではなく、確認可能な掲載媒体を示せる資料です。

同出版社の松下幸之助の名言一覧にも、同じ言葉が紹介されています。一方、松下幸之助は1989年に亡くなっているため、2003年6月号が本人の発話日時や初出であるという意味ではありません。亡くなった後の編集・再録という可能性を踏まえた説明が必要です。

今回の調査では、この一文の元になった当時の講演録や著書の版・ページを確定できていません。「致知での掲載確認」と「本人の原発言確認」は別の状態です。そのため、記事の出典ステータスは要検証を維持します。

「百遍立ち上がる」の本当の難しさ

一度失敗して再挑戦することは、口で言うほど簡単ではありません。資金や時間、周囲の協力にも限りがあるからです。立ち上がることを、前と同じ方法をもう一度実行することと同一視しないほうが現実的でしょう。

同じ計画を何度も試して結果が出ないなら、仮説や手順を見直す必要があります。何が失敗の原因だったのかを確かめれば、次に取るべき行動が変わることがあります。再挑戦には継続だけでなく、学習と変更の余地が必要です。

一方、原因が本人だけでは変えられない条件にある場合もあります。助けを求める、期限を伸ばす、目標を変える、撤退することも合理的な選択です。何があっても続けることを強制する言葉として使うべきではありません。

「万策尽きた」と感じたときに見直すこと

行き詰まった場面で「もう方法がない」と思うのは自然なことです。そのとき、まず考えられる選択肢を整理するだけでも、自分で変えられる部分と外部の条件を分けられるかもしれません。

例えば仕事で必要な成果が出ないなら、投入する時間を増やすこと以外にも、対象となる顧客を変える、提案内容を見直す、外部の知恵を借りる方法があります。策を増やすとは、思いつきの数を増やすだけではなく、問題の捉え方を変えることでもあります。

ただし、選択肢を探し続ければ必ず正解が見つかるとは言えません。難しい条件が重なるときは、解けない問題があることも認める必要があります。名言の強い断定と、現実の判断に必要な慎重さは分けて考えましょう。

失敗を次の判断につなげるための実践

失敗を振り返るときは、「なぜできなかったのか」を自分の性格だけの問題にしない方法があります。準備、相手の条件、技術、判断、偶然などを見直し、次回試せる変更点があるかを考えてみます。

学習で目標に届かなかったなら、問題の解き方を変える、学習計画を小さくする、質問できる人を見つけるといった方法があります。無理に長時間続けるより、どの行動に意味があるかを確かめるほうが役立つ場合もあります。これは当サイトによる日常への応用です。

関連する「人間は行きづまるということは絶対ない」では、1965年の松下本人の別の講話に見られる考え方の変更を扱っています。似たテーマでも出典の確かさが異なることを意識して読み比べると、教訓の背景がより明瞭になります。

まとめ|掲載号を明示し、原典は引き続き検証する

「百遍倒れたら百遍立ち上がれ」の一節については、致知出版社が『致知』2003年6月号を掲載元として示しています。ただし本人の最初の発言がいつどこに記録されたかは未特定のため、正式な出典判定は要検証のままです。

この言葉は、ただ気力で耐え続けるというより、失敗を受け止めた後に別の策を探し、必要なら判断を変えることの大切さとして読むと、現代にも応用しやすいでしょう。限界のある人に無理を求める教訓にはしないことが重要です。

参照資料:致知出版社「逆境を超える 松下幸之助の言葉」(『致知』2003年6月号を明記)、致知出版社「松下幸之助の名言」(二次掲載例)。掲載号は確認できますが、本人の初出日時と原取材は未確認です。出典ステータスの読み方もご覧ください。

失敗や逆境に関する松下名義の言葉をまとめてたどるなら、松下幸之助の人物・原典ガイドへ。『致知』2003年6月号の掲載を確認できることと、本人の初出日時や講演録が確定したことは別です。関連する別の言葉と出典の段階を分けて読み比べられます。

ほかの記事を探す

記事の訂正・出典情報は、お問い合わせから該当記事のURLと根拠資料をお知らせください。