はじめに
「生死などは何でもない、つまらない事柄なのだ。ただ、生きていく態度が重要なのだ」。この言葉は、稲垣足穂の人生観を表す言葉として広く流通しています。
今回の調査では、この一節の出典を足穂のエッセイ「二十五歳までに決定すべきこと」とする資料を確認しました。また筑摩書房『稲垣足穂全集10』に同作品が収録されていることも、出版社とCiNiiの書誌情報から確認できます。
ただし、公開された全集本文そのものにアクセスして該当行を直接照合できてはいません。そのため、作品名まで特定する二次資料はあるが、一次本文照合は未完了という確度で扱います。
「二十五歳までに決定すべきこと」は全集第10巻に収録
筑摩書房の『稲垣足穂全集10――男性における道徳』には、「二十五歳までに決定すべきこと」が収録されています。
同巻には晩年の長篇作品やエッセイが多く収められており、この作品もその一つとして書誌上確認できます。
名言紹介資料の中には、この作品を「生死などは何でもない…」の出典として明示するものがあります。
焦点は「死を軽く扱うこと」より、生の姿勢
短句だけを見ると、「生死はどうでもいい」という極端な死生観にも見えます。
しかし後半に置かれるのは「生きていく態度」です。問題の重心は、死についての結論より、生きている間にどのような姿勢を取るのかへ移っています。
死を考え続けて人生を止めることより、生そのものの形式や態度を問題にする言葉として読む方が、短句の構造には沿っています。
足穂を普通の「人生訓の人」にしない
稲垣足穂は、飛行機、天体、都市、少年、機械、美学などを独自の文体で扱った作家です。
この一文だけを切り出して「死を恐れず前向きに生きよう」という教訓へ丸めると、足穂の特異な作品世界はほとんど見えません。
出典作品の本文が確認できた段階では、前後の議論を含めて改めて読み直す必要があります。
出典の現在地
現時点で確認できているのは、①この言葉が足穂名義で広く流通していること、②「二十五歳までに決定すべきこと」を出典とする資料があること、③その作品が筑摩書房の全集に実在することです。
一方、全集本文中の該当箇所そのものは今回直接確認できませんでした。
したがって、真正な逐語引用と断定するのではなく、出典候補作品を特定済み・一次本文照合待ちとします。
まとめ
「生死などは何でもない、つまらない事柄なのだ。ただ、生きていく態度が重要なのだ」は、稲垣足穂「二十五歳までに決定すべきこと」に由来するとする資料があります。
作品自体は『稲垣足穂全集10』に収録されていることを確認できましたが、該当行の一次本文照合は未完了です。
その確度を明示したうえで、死の答えより「どう生きるかという態度」へ重心を移す言葉として読みます。
出典メモ:稲垣足穂「二十五歳までに決定すべきこと」への帰属資料あり。作品は『稲垣足穂全集10――男性における道徳』(筑摩書房、2001)に収録。該当行の一次本文照合は未完了。
出典調査の補足:作品の収録書誌と、問題の一文が実際にその作品に記されていることは別の確認事項です。現時点では全集本文の該当箇所を直接照合できていないため、出典タグ117(要検証)を維持します。