「運命をあざ笑うものが幸運を手に入れるだろう。」
この日本語はベンジャミン・ディズレーリの言葉として紹介されることがあります。ただし今回の調査では、この日本語に直接対応する英語原文や作品箇所を特定できませんでした。
まず人物名を訂正する
旧記事では人物名を「ベンジャミン・ディストレイ」としていましたが、正しくはベンジャミン・ディズレーリ(Benjamin Disraeli, 1804–1881)です。イギリスの政治家であり、小説家でもありました。
『Alroy』には確認できる「運命」の一節がある
ディズレーリの小説『Alroy』には、次の文章が実際にあります。
We make our fortunes, and we call them Fate.
原典:Benjamin Disraeli, Alroy|Project Gutenberg
ここでの趣旨は、「われわれは自分で自分の運命をつくり、それを運命と呼ぶ」といったものです。
旧記事の日本語と同一視しない
「運命をあざ笑う者が幸運を手に入れる」と、“We make our fortunes, and we call them Fate.” は意味が近いようで異なります。
前者には「運命を笑い飛ばす」というニュアンスがありますが、後者は、人が自ら作った結果を後から「運命」と呼ぶという、主体性と宿命観の関係を語っています。
人物像から背景を作らない
旧記事では、ディズレーリ自身が逆境を乗り越えた政治家だったことから、この言葉を彼の成功哲学として説明していました。
しかし、出典不明の言葉を人物の経歴で補強すると、もっともらしい誤情報が完成してしまいます。本人の人生と引用の出典は分けます。
出典状態
要検証。「運命をあざ笑うものが幸運を手に入れる」に対応する一次原文は今回特定できませんでした。一方、ディズレーリ『Alroy』には “We make our fortunes, and we call them Fate.” という確認済みの関連表現があります。
ベンジャミン・ディズレーリ人物ページへ → 首相としての政治活動と、小説・登場人物の台詞・後世の引用を分けて読めます。