「いいときも悪いときも続ける。これが一番難しい。やすむは簡単だから」。リリー・フランキーの言葉として紹介される一節です。長く続けることの難しさが伝わりますが、本人が最初にこの一文を話した日時や媒体は確認できませんでした。また、旧記事の「休むことは誘惑であり、何も変わらない」という解釈は、言葉を読み込みすぎています。流通の記録と、本人が別の取材で語った実際の仕事経験を分けて考えます。

2013年の掲載例が残っている
「ものくろぼっくす」2013年12月23日付のページには、リリー・フランキーの言葉として、今回の文章に近い短句が紹介されています。「いいともも悪いときも」という明らかな転記上の乱れや、「休むのは簡単だから」という表記差もあります。
また、2016年2月15日の掲示板投稿には冒頭の「いいときも悪いときも続ける」という短い形が見られ、名言集.comの人物ページには長い形が掲載されています。
これらは言葉が広まっている事実を確認するための資料であり、いずれもリリー本人への録音取材や著書のページを示していません。早い流通例と発言の原典は、区別する必要があります。
本人の取材:続けていると、仕事の感覚は変わる
集英社オンラインの2026年8月2日付インタビューで、リリーは文筆家・イラストレーターとして多い時期に多数の連載や原稿を手掛けた経験を振り返っています。文章を書く作業は経験と体力に関わり、書く量が多かった頃は自然に言葉が出てきた一方、間隔が空いて久しぶりに連載へ戻った際には、書きづらさがあったと語っています。
ここからは、継続によって作業の感覚が保たれる場合があるという具体的な経験が見えてきます。ただし、このインタビューに今回の名言が掲載されているわけではなく、短句の初出を証明する資料として扱うものではありません。
本人の取材:仕事を引き受け続けても、無理は起こる
Forbes JAPANの2023年6月10日付インタビューでは、リリーは依頼を受けた仕事を積極的に引き受けてきたと話しています。一方で、物理的に使える時間を超えて仕事を抱え、仕事が回らなくなることもある、と率直に述べています。
したがって、本人の経験を「続けさえすれば問題はない」とまとめるのは不正確です。表現の仕事が継続から力を得ることと、無制限に仕事量を増やせることは違います。
「やすむは簡単だから」をどう読むか
短句の後半だけを見ると、休むことが簡単で、続けることだけが価値を持つようにも感じられます。しかし、誰かが休息を取る理由はさまざまです。身体の回復、睡眠、家族との時間、仕事の見直しなど、休むことそのものが長く続けるための条件になる場合もあります。
2026年9月5日のOTONA SALONEでの対談では、リリーは長谷川京子と、年齢を重ねると「きちんと休む」こと自体が難しくなるという話をしています。2026年の対談は初出不明の名言と同一の発言ではありませんが、本人の別の言葉も踏まえると、休息の否定を彼の一貫した哲学として断定するのは慎重であるべきでしょう。
続けることと、変えないことは別
同じ仕事を長く続けるとしても、毎日まったく同じやり方を繰り返す必要はありません。制作なら題材や道具を変える、学習なら理解の足りない部分を確かめる、運動なら疲労と負荷を調整する。目的を保ちながら方法を改めることも継続の一部です。
逆に、続けることが本人に大きな損失を生んでいるなら、活動から離れる決断にも意味があります。継続を人格や勇気の絶対的な指標にしないことが大切です。
仕事や学習での実践的な読み方
- 目的を確かめる:続けたいのは何か。毎日行うこと自体が目的になっていないか。
- 続けられる大きさにする:成果が出ないときも無理なく取り組める最低限の単位はあるか。
- 休む理由を理解する:集中が切れたのか、体調が悪いのか、方法を見直す必要があるのか。
- やめる選択も残す:今の手段にこだわりすぎず、他の方法に移る判断ができるか。
この整理は当サイトが読者に提案する解釈です。リリー本人が示した手順としては扱いません。
まとめ:継続は大切。ただし休息も工夫も必要
「いいときも悪いときも続ける」という言葉には、結果が安定しない時期にも仕事や学びへ向き合う姿勢が表れています。しかし、旧記事のように「休んだら何も変わらない」「続ければ必ず成功する」とは言い切れません。本人の執筆経験や仕事量についての取材を踏まえると、長く続けるには自分の条件を見極め、仕事の仕方を調整することも重要だと考えられます。
確認した出典と判定
- ものくろぼっくす、2013年12月23日付「今日の一言」:言葉の早い日本語流通例。誤記・文言差がある。初出の証明ではない。
- 名言集.com「リリー・フランキー」:現在流通する形の掲載例。個別の発言出典は示されていない。
- 集英社オンライン(2026年8月2日):本人が執筆の継続・間隔の影響を語る直接取材。対象短句の出典ではない。
- Forbes JAPAN(2023年6月10日):仕事を引き受けてきた経験と仕事量の限界に関する直接取材。
- OTONA SALONE(2026年9月5日):「きちんと休む」ことの難しさに触れる本人の別の対談。
出典状態:要検証。リリー・フランキー名義の日本語流通は確認できますが、本人がどの時点で語ったか、録音・原稿・原刊行物の該当箇所は特定できていません。ほかの本人インタビューは考え方の比較資料であり、短句の真正性を直接示すものではありません。出典状態の読み方をご覧ください。
「まだ結果が出ていない時期」に関する別の言葉は、リリー・フランキー名義「芽が出ていない人には可能性がある」で取り上げています。