朝吹登水子「感動なしに生きていてはもったいない」の出典|宝島社の採録と『豊かに生きる』

朝吹登水子「感動なしに生きていてはもったいない」の出典

「せっかくこの世に生まれてきたのだから、感動なしに生きていてはもったいない」。翻訳家・作家の朝吹登水子の言葉として知られる一文です。特別な出来事が起きなくても、目の前の世界に心を動かすものを見つけられるという読み方ができます。

今回、宝島社の書籍『しあわせの言の葉』の公式紹介に、同じ文章が朝吹登水子名義で掲載されていることを確認しました。少なくとも出版社による名言集への採録は直接確認できたといえます。

ただし、名言集は朝吹本人の著作や取材音声ではありません。どの随筆・対談から採られたか、最初の公表がいつかは確定できていません。出版元が引用を掲載した事実と、本人の逐語原典を確認したことは別として、出典タグ117「要検証」を維持します。

宝島社『しあわせの言の葉』には同じ一文が載る

宝島社の『しあわせの言の葉』書籍紹介では、目次の「風」の章に朝吹登水子の名を挙げ、対象の一文を掲載しています。著者名と文章を一緒に示した出版者の公式資料であることが、単なる匿名の引用サイトより有用です。

目次にはほかにも複数の作家の言葉が並びます。言葉を花や鳥、風などの章に分けて読む構成から、心を動かす言葉を幅広く集めた本であると分かります。作品の中の元の文脈を省いて、短い文章を味わう形式の書籍です。

ただし、宝島社の書籍紹介は朝吹の出典となった原著やページを示していません。今後は、採録された文章がどの本に由来するかを出版者の注記や原本で確認する必要があります。名言集への掲載をもって原典の調査が終了したとはしない方針です。

本人のエッセイ『豊かに生きる』との関係

国立国会図書館の『豊かに生きる』書誌によると、朝吹は2002年に世界文化社から191ページのエッセイ集を刊行しています。書誌の紹介では、日常生活の中に感動を持つ生き方をテーマにした本と説明されています。今回の名言と近い問題意識を本人の著作で確かめられる候補です。

同じ書誌には、雑誌『家庭画報』『婦人公論』での連載へ加筆修正し、書き下ろしを加えて刊行したとあります。単行本の記述に雑誌掲載という前段階がある可能性を示す書誌情報です。

しかし『豊かに生きる』の目次や紹介から、冒頭の一文が載ると証明されたわけではありません。題材が近いことと、同じ文章を収録していることは別です。原本のページを確認するまでは、出典候補という位置づけにとどめます。

フランス文学を紹介してきた翻訳家の歩み

新潮社の朝吹登水子の著者プロフィールでは、1917年に東京で生まれ、1936年にパリへ留学し、戦後にも渡仏した経歴が紹介されています。ボーヴォワールの著作やサガンの小説を数多く翻訳した人物です。異なる文化に触れ、作品を日本語で紹介してきた仕事の経歴が確認できます。

文章を翻訳するときには、別の言語の言い回しを日本語でどう表すかを選ぶ必要があります。何が面白いと感じられたのかを読者へ伝える作業には、作品をよく読むことが欠かせません。文章の細部へ注意を向ける仕事を通して、読者が新しい世界へ触れる機会を作ってきました。

ただし、翻訳家だったからこの名言を語ったと決めつけることはできません。職業歴は人物を理解する背景であって、具体的な発言の成立事情を示す証拠ではないと区別します。

感動は大きな出来事だけにあるのか

感動というと、映画の結末や旅行の絶景など、特別な経験を想像しがちです。しかし、日常の小さな変化に心が動くこともあります。感動の大きさと、出来事の珍しさはいつも一致するわけではありません。

例えば、いつも通る道で季節の色が変わったことに気づいたり、何気なく読んだ文章に新しい考えを見つけたりすることがあります。見慣れたものを違う角度から見直すことも、心が動く機会になります。

一方、誰もが同じ場面で感動する必要はありません。花を見て心が動く人も、機械の仕組みを知って驚く人もいます。何に価値を見いだすかという違いを尊重することが大切です。

感動しない日を「もったいない」と責めない

流通する文章の「もったいない」は、感動を大事にしようという強調として読むことができます。しかし、疲れ切っているときや悲しい出来事の後には、何も楽しめない日があるかもしれません。感動できない自分を責める理由にしてはいけません。

感動を求めて予定を次々と詰め込めば、かえって疲れてしまう場合もあります。休むことや静かに過ごすことにも意味があります。心を動かす経験を大切にすることと、常に強い刺激を必要とすることは違うのです。

また、人によって感覚の働きや経験の受け止め方は異なります。ある作品に感動しない人の価値を下げたり、特定の文化を楽しむことを強制したりするものではありません。感動を人間らしさの合格条件にしないようにします。

知らない世界に触れることの豊かさ

今まで読んだことのない国の物語に触れると、自分には当然だった考えが別の場所では違うことに気づく場合があります。知らなかった生活や価値観を知ることは、自分の世界を少し広げる経験になります。

朝吹がフランス文学を翻訳してきた仕事は、異なる文化の作品を日本語の読者へ届けるものでした。言葉を通して遠くの誰かの経験に触れられるのも、文学を読む面白さの一つでしょう。

ただし、海外へ行かなければ豊かな経験ができないわけではありません。地域の図書館で本を借りたり、身近な人の話を聞いたりすることもできます。文化に触れる方法は、費用や移動の大きさだけでは決まりません。

まとめ――出版社の採録は確認、本人の初出は未確認

朝吹登水子の「感動なしに生きていてはもったいない」は、宝島社『しあわせの言の葉』の書籍紹介で対象の一文が同名義で確認できます。以前の「名言サイトでの広い流通」のみという段階から、具体的な出版社資料までたどれました。

一方で、本人の著書『豊かに生きる』が日常の感動を主題にしていることは国立国会図書館の書誌で確認できますが、対象句の掲載は未確認です。名言集への採録と、本人の原文の掲載位置を区別し、出典タグ117を維持します。

参照資料:宝島社『しあわせの言の葉』公式紹介、国立国会図書館『豊かに生きる』書誌、新潮社の著者プロフィール。関連する朝倉摂の仕事への誠実さを扱う記事では、絵画と舞台美術という異なる形で表現に向き合った作家の姿勢を考えられます。

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