はじめに
新しい仕事を引き受けると、自分にできないことが見えてくる。女優・天海祐希は2016年の本人インタビューで、仕事のたびに自分の課題へ気づくこと自体を前向きに捉えていた。できなさを発見することを、ただの失敗で終わらせない発言である。
得意なことを確認できるのは嬉しい。一方で、苦手な部分が分かる瞬間には落胆もある。この言葉が面白いのは、足りないものを見つけた時点にも学ぶ価値を認めている点だ。
ただし「努力すれば何でもできる」と約束した言葉ではない。本人のインタビューにある具体的な仕事への姿勢として、文脈を確認していきたい。
2016年のインタビューで話していたこと
この発言はシネマトゥデイの2016年4月13日の本人インタビューに掲載されている。劇場版『名探偵コナン 純黒の悪夢』で声の出演をした時期の記事だ。作品への新しい挑戦が話題となる取材の中で語られた。
天海は仕事をするたび、自分のどこができないかを知ることもプラスだと述べている。さらに、できないままにするより努力してできるようになることもプラスだという考えを語った。発見とその後の行動が並んでいるのが重要だ。
発言の出典は曖昧な名言集ではなく、日付と記事のある本人取材の記録である。ただし記事の紹介文や編集部の見出しと、本人の発言本文は区別する。
何ができないか分かると、改善を選べる
何となく「仕事がうまくいかない」と感じる状態では、何を見直せばよいか分からない。伝え方なのか、準備なのか、知識なのか。課題を具体的にすると、次の行動を考えやすくなる。
例えば発表がうまくいかなかったとしても、話す内容が不十分だったのか、聞き手の疑問に答えられなかったのかで準備は変わる。「自分はだめだ」という評価と、改善できる部分の発見を分けることが役立つ。
ただし、課題の発見が必ずしもすぐ成長につながるわけではない。必要な支援、時間、環境は人によって異なる。発見が第一歩であって、成功の保証ではない点も残しておきたい。
挑戦すると見える自分が変わる
いつも同じ仕事をしていると、慣れた方法で成果を出せる場面も増える。しかし新しい役割では、前の経験だけでは足りないことがある。未知の仕事は、自分の力の輪郭を確かめ直す機会にもなる。
天海の発言は、出演したすべての作品で同じ課題を感じたという実績表ではない。本人の仕事への向き合い方を述べたものである。具体的な取材発言から、存在しない失敗談や苦労話を創作しないことが大切だ。
苦手を見つけたときは、それを克服する以外にも、他者と協力する、役割を調整する、別の方法を探す選択がある。できないことを知ったからこそ、選べる対処が増えると考えられる。
仕事や学習でどう生かすか
新しいことを試した後、出来ばえを一語で採点するより、うまくいったことと難しかったことを分けてみる。「説明はできたが質問への回答が曖昧だった」と分かれば、次の準備が具体的になる。自分を丸ごと否定しない振り返りができる。
周囲の人へフィードバックする時も、「向いていない」と人格に結びつけるのではなく、何が伝わり、何が伝わらなかったかを話す方が役立つ場合がある。課題を人ではなく行動へ結びつける姿勢が大切だ。
もちろん、毎回自分を追い込んで不足を探し続ける必要はない。よかった点を認め、休息も取りながら、必要な時に見直せばよい。向上心と自己否定は同じではない。
出典とまとめ
出典は2016年4月13日公開のシネマトゥデイの記事である。本人インタビューに発言の掲載を確認できるため、「出典確認済み」とする。
一方、ここで述べた仕事の振り返りやフィードバックの工夫は、インタビューを手掛かりにした編集上の応用だ。本人が現代の職場研修の方法を提案したと断定しない。
できないことを知るのは気持ちのよい経験ばかりではない。それでも、自分に何が必要かを知る機会として受け止めることはできる。「できない」を終点ではなく、次を考える材料にするという姿勢を持ち帰りたい。