はじめに|「ムダなこと」をなぜ試すのか
「キャンプでいろいろと試すことは、ムダではありません」。この言葉に続く、ムダなことを考え、実行しなければ伸びないという発想は、イチローの試行錯誤を象徴する表現として紹介されてきました。
ただし、同じ言葉が名言集に載っていることと、本人がどの取材で語ったのかを知ることは違います。今回、書籍の版と該当ページ、および元となるインタビューの日時までは直接照合できていません。そのため、原典確認済みとはしません。
「ムダを大切に」というだけでは、何もしなくても成長できるという奇妙な教訓になってしまいます。最初にキャンプでの試行を語っている点を押さえ、なぜ採用されなかった方法にも意味があるのかを読み解きます。
2011年の読書記録と2017年の学校資料
2011年6月17日付の読書ブログ「イチロー 262のメッセージ」には、今回の文章がほかのイチロー語録とともに掲載されています。書籍を題材にした具体的な二次掲載例ではありますが、当サイトがその書籍の現物を確認したことにはなりません。
埼玉県立越谷東高校の2017年11月19日付校長日記でも、この一節が名言として紹介されています。少なくとも2011年と2017年に同じ主題の文言が掲載されていたことは、独立に確認できます。
一方、出版社の『夢をつかむイチロー262のメッセージ』紹介は、イチロー監修の発言集の存在を示します。本の書誌情報と、個別の文章の逐語的な収録箇所は別の確認事項です。紹介された文を本人の正確な原文として確定するには、書籍本文や元記事の照合が必要です。
「ムダ」とは、試した結果として分かること
野球のキャンプでは、新しい動きや練習方法を取り入れても、それが試合で使えるとは限りません。何が自分に合うかを知るためには、実際に試す過程が必要になることがあります。
試した方法を最終的に使わなかったとしても、それがどう合わなかったのかを知ることは判断材料になります。採用されなかったという結果と、試した時間が無意味だったという評価は同じではありません。ここでの「ムダ」は、そのような試行錯誤を表すと読めます。
ただし、何でも試せば成長するという保証はありません。目的も振り返りもなく同じ失敗を繰り返すだけでは、必要な情報を得られない場合もあります。試したことから何を学び、次にどう変えるかという視点が重要です。
効率を求めると、なぜ試す幅が狭まるのか
最初から成功例だけを選べば、短期的には効率がよく見えます。しかし、その方法が自分に合わなかったときの選択肢は少なくなります。結果が分からない方法を少し試す余地は、考え方の幅を広げる機会にもなります。
一方で、時間や体力、費用には限りがあります。すべての可能性を試すことはできません。試行錯誤と資源の使い方のバランスを考え、危険な方法や明らかに無理な方法を避ける判断も必要です。
また、一度うまくいった方法をそのまま守ることにも意味があります。新しい方法を試す時間と、すでに有効な動きを磨く時間は競合します。変えることだけが成長ではなく、変えない理由を確かめることも改善の一部です。
仕事や学習で実践するなら、小さく試して比べる
たとえば文章を書く仕事なら、一度だけ説明の順番を変え、読み手が理解しやすいか確かめる方法があります。実験する範囲を小さくして、結果を比較するなら、全てを作り直さなくても改善点を見つけられるかもしれません。
勉強でも、暗記の時間を増やす前に、問題を解く順番や復習の仕方を変えてみることができます。ただし、試したことを記録せずに方法だけ頻繁に変えると、何が効いたのか分からなくなることがあります。変化を判断する材料を残しましょう。
関連記事の「進化するとき、カタチはあまり変わらない」では2004年のほぼ日対談を原文から解説しています。「小さなことを積み重ねる」では流通文の違いを整理しました。一見似た成長の言葉でも、試行と継続は異なる焦点を持つと考えられます。
まとめ|流通を確認できても、原文照合は別
試行錯誤を大切にするこの言葉には、2011年の書籍を扱う読書記録と2017年の学校資料という掲載例があります。しかし、対象文の元の取材と、発言集の版・ページを当サイトが直接確認できたわけではありません。判定は要検証です。
言葉を読むうえでは、むやみに回り道をすることではなく、試して初めて分かることがあるという点が中心になります。やってみて適さないと分かった経験も、次の判断に役立つことがあるでしょう。
参照資料:2011年の読書記録、越谷東高校の校長日記(2017年11月19日)はいずれも二次掲載例です。ぴあの書誌紹介は本の存在の確認先であり、逐語的な原文照合に代わるものではありません。出典ステータスの読み方もご参照ください。