はじめに
「仕事だけはポジティブシンキング」。大泉洋の言葉として紹介されるこの表現には、仕事なら何が起きても心配しないという印象がある。しかし本人は2017年のインタビューで、北海道から東京へ活動を広げる際に不安はあったと、はっきり話している。
では、どんなことを心配していたのか。取材で挙げられたのは、東京で大きく売れてしまうと元の暮らしに戻りにくくなるのではないか、以前のように街を自由に歩けなくなるのではないかという、少し意外な心配だった。「成功できるか」より、「成功したらどうなるか」に関心が向いていたというわけだ。
ただし、このエピソードを「前向きに考えれば必ず成功する」という法則にしてはいけない。本人も、北海道で仕事の土台があった自分は少し特殊な条件だったと説明している。明るい見通しと、それを支える現実の条件の両方を見たい。
原典は2017年の『ファッションプレス』本人取材
この言葉は2017年12月に公開された『ファッションプレス』の大泉洋インタビューで確認できる。取材者が東京に進出する際の不安を尋ねると、大泉は仕事に関しては前向きな見方をする傾向があったと答え、当時の心配を具体的に説明している。
元記事には「なんとなく仕事だけはポジティブシンキング」という表現がある。短い名言として伝わる際に前半が省かれているが、意味を変える独自の創作ではない。発言と前後のやり取りを直接確認できるため、出典状態は「出典確認済み」とした。
取材は映画『探偵はBARにいる3』の公開時期に行われた。大泉は北海道での活動を長く続けた後、東京で役者の仕事を始めた理由や、二つの場所での仕事の違いも語っている。抽象的な性格診断ではなく、職業上の変化を振り返る文脈なのだ。
不安がなかったのではなく、不安の向きが違った
本人は、北海道で仕事をしていた間、ほかの土地ではほとんど顔を知られていなかったと振り返る。そのため、東京で急に知名度が上がれば、出歩きにくくなるかもしれないと考えたという。変化に期待する心と、変化で失うものへの心配は共存する。
インタビューで語られた心配は、仕事がすべて失敗するという想像ではなく、仕事がうまくいった後の暮らしへの影響だった。ユーモラスではあるが、本人の説明によれば、北海道で培った仕事を残して東京の仕事に挑める条件があったことも大きい。
東京でうまくいかなかったとしても、北海道の活動へ戻ることができる。その安心感が、成功への良いイメージを持つ助けになったという。前向きさを性格だけに帰さず、失敗したときにも残る選択肢を考えることが、この話の具体的な読みどころだ。
二つの活動拠点を持つという選択
北海道と東京では、テレビ番組を作る方法や現場で期待される役割にも違いがあると、大泉は説明している。北海道では、その場で面白いことを試す場面が多く、東京では企画を作り込む番組が多いという自身の経験を話している。場所を変えることは、それまでの経験を捨てることではなかった。
同じ人でも、働く環境が変われば得意な役割や学べることが変わる。大泉は取材で、東京のバラエティーと北海道のレギュラー番組では自分の立ち位置が違うと述べている。一つの環境で作られたイメージが、別の現場では違う働き方へつながることがある。
ただし、仕事の土台を残したまま別の拠点へ広がることは、誰にでも簡単に実行できるわけではない。暮らし、収入、移動の費用、家族の事情によって選択肢は変わる。本人の条件があったから成り立った判断だという留保を忘れないようにしたい。
仕事に前向きであるための準備
新しい仕事に挑むとき、うまくいく可能性だけを想像するより、うまくいかなかった場合の影響を確かめてみる。準備をしておけば、挑戦の意味が変わることもある。何を失う可能性があり、何を残せるのかを見通すことは、前向きさを支える具体的な行動だ。
例えば新しいサービスを試す際、最初から大規模に投資せず、一部分で試行する方法がある。ただし、これは現代の仕事へ当てはめた解釈であり、大泉が経営の実験方法を論じたという意味ではない。本人の経験を、別の状況で考えるためのヒントとして使うのが適切だ。
気持ちを明るく保つことを義務にするのも違う。不安があるなら、無理に消そうとせず、何が心配かを言葉にして周囲と相談すればよい。不安の存在を認めたまま判断することも、前向きに働くための方法になり得る。
まとめ・原典
大泉洋の「仕事だけはポジティブシンキング」は、2017年の本人取材で確認できる発言である。その背景には、東京で売れた後の生活を心配するというユーモラスなエピソードと、北海道に仕事の基盤を残して挑戦できた事情があった。ただ楽観的だったというより、いくつかの選択肢を持って挑んでいたことに注目したい。
一次資料:ファッションプレス「大泉洋にインタビュー――俳優を続ける理由」(2017年12月)。別の時期の本人回顧:オリコンニュース「自ら語る大泉洋論!」(2014年)。関連記事:演劇を面白いと思ったことから始まった仕事、人生半身浴と東京進出。
成功の確率や性格の一般法則を示す医学的・心理学的な研究をこの記事が検証したわけではない。確認した発言、本人の経験、編集上の仕事への応用は区別している。出典ステータスガイドも参照してほしい。
