「朝もよし 昼もなおよし 晩もよし その合い合いに チョイチョイもよし」
大田南畝(蜀山人)の狂歌として広く伝わる一首です。旧記事では「朝・昼・晩、人生のすべての時間を肯定する言葉」と解釈していましたが、この読み方は文脈を外していました。
これは「酒」を詠んだ狂歌として伝わっている
現代の狂歌紹介資料では、この歌を朝も昼も晩も酒はよく、その合間にも少しずつ飲むのもよいという酒の歌として紹介しています。
つまり「チョイチョイ」は、人生の小さな喜びを見つけるという抽象的な人生訓ではなく、酒を合間にも少しずつ楽しむという戯れのニュアンスで読む方が自然です。
狂歌らしい誇張とユーモア
大田南畝は狂歌師として、酒や金、世俗の欲望を笑いへ変える歌を多く残したことで知られます。
この一首も、朝から晩まで「よし」、その間もまた「よし」と畳みかけることで、酒好きの欲を大げさに肯定する笑いがあります。
「いつでも前向きに生きよう」という自己啓発的な教訓へ変えるより、まずは狂歌としての可笑しさを残した方が作品に近いでしょう。
表記には揺れがある
「朝もよい」「朝もよし」、「チョイチョイとよし」「チョイチョイもよし」など、現代の紹介資料には表記差があります。
今回の調査では、江戸期の原歌集・版本の具体的な収録箇所まで直接特定できませんでした。そのため、本人作品として広く伝わっていることと、初出資料の確認を分けます。
出典状態
要検証。大田南畝の狂歌として複数資料に流通していますが、今回の調査では江戸期の原歌集・版本の具体的な初出箇所を直接確認できませんでした。