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『ピーターラビット』原作のあらすじと結末|お父さんはパイ?青い上着とカモミール茶

はじめに――『ピーターラビット』原作の本当の結末

『ピーターラビット』は、青い上着を着た子ウサギが野菜畑へ入り、大騒ぎを起こすお話として親しまれています。可愛らしい姿ばかり思い浮かべる人もいるかもしれませんが、1902年の原作では、ピーターの父親がパイにされたことが語られ、本人も危険な目に遭います。

原作者は英国のビアトリクス・ポター。英語の題名は『The Tale of Peter Rabbit』で、1902年にフレデリック・ウォーン社から刊行されました。主人公が最後にどうなるかは、同年の英語本文をProject Gutenbergで確認できます。現代の絵本やアニメの記憶に頼らず、原作の出来事を追ってみましょう。

まず結末から言うと、ピーターは無事に家へ帰ります。しかし、なくした上着と靴は取り戻せず、その夜は具合が悪くなり、母親に寝かされます。楽しい冒険を終えて褒められる話ではなく、怖い思いをして帰ってきた子どもの姿で終わることが、この作品の味わいです。

1893年の手紙から1902年の絵本へ――版の違い

ピーターの物語は、最初から書店に並ぶ絵本として生まれたわけではありません。ポターは1893年9月4日、病気の少年ノエル・ムーアを励ますため、絵を添えた手紙の形で物語を送りました。友人の子どもへ贈った私的な物語が、後に世界中で読まれる絵本へ発展したのです。

ヴィクトリア・アンド・アルバート博物館の出版史によれば、ポターは出版社から断られた後、1901年12月に自費で250部を印刷しました。1902年2月には私家版の追加印刷もあり、同年10月にウォーン社が商業版を刊行します。1901年の私家版と1902年の商業版は、出版時期も編集内容も異なります。

商業版を作る際、ポターは一部の挿絵を削り、文章を手直ししました。したがって、原作が何年に発表されたかを説明する際には、1893年の手紙、1901年の私家版、1902年の商業版を区別する必要があります。今回のあらすじは1902年の商業出版系統の本文を基準にしています。

母親の警告――父親はどうなったのか

冒頭には、フロプシー、モプシー、カトンテール、ピーターの四匹の子ウサギが登場します。母親は出かける前に、野原へ行ってもいいけれど、マグレガーさんの庭だけには入ってはいけないと注意します。物語の危険は、大人の理由のない禁止ではなく、過去に起きた出来事と結び付いています。

母親は、その庭で父親が事故に遭い、マグレガー夫人によってパイにされたと子どもたちに語ります。小さな子向けの絵本としては驚くほどはっきりした描写です。「危ないから駄目」という警告に、ピーターにとって身近で重大な理由が与えられているのです。

母親が買い物へ出ると、ほかの三匹は道沿いで木イチゴを摘みます。しかしピーターだけは、すぐに庭の門の下をくぐって入り込んでしまいます。兄弟の対比を短い場面で見せることで、主人公の好奇心と危うさが同時に描かれます。

畑に入ったピーター――上着と靴を失うまで

ピーターは畑でレタスや豆、ラディッシュを食べ、気分が悪くなったところでパセリを探します。そこでマグレガーさんに見つかってしまいます。庭の持ち主は畑仕事をしていましたが、ピーターを見ると熊手を持って追いかけます。ピーターにとっては冒険でも、持ち主にとっては野菜を食べられている出来事です。

逃げ回る途中でピーターは靴を片方ずつ失います。四本足で走れるようになって一時は速くなりますが、今度は青い上着の大きなボタンがスグリの網に引っかかります。おしゃれな上着が、逃げるときには思いがけない障害になるのが、絵本らしい機転の効いた場面です。

ピーターは上着を脱いで逃げ出し、物置にある水の入ったじょうろへ飛び込みます。けれども体が濡れ、くしゃみをしたために居場所がばれてしまいます。助かったと思うたびに別の問題が起こるという短い場面の連続が、読者を引きつけます。

庭からの脱出――誰が助けてくれたか

ピーターは窓から逃げた後、体を休めますが、門がどこにあるのか分かりません。小さなネズミに道を尋ねても、その口には食べ物が入っていて答えられません。池では猫の姿を見つけ、危険を感じて話しかけずに立ち去ります。庭の中には危険だけでなく、助けを得にくい不確かな場面もあります。

やがて物置の近くへ戻ったピーターは、手押し車から周囲を見渡します。すると、マグレガーさんが玉ねぎの手入れをしており、その向こうに出口の門が見えます。闇雲に走るのをやめ、位置を確かめたことで逃げ道を発見できたのです。

ピーターは庭の持ち主が背を向けている間に走り出し、ついに門の下をくぐって森へ逃げます。しかし、青い上着と靴は庭に残したままです。主人公は体を守ることには成功しても、何も失わずに帰れるわけではありません。

結末――青い上着はかかしになり、ピーターはカモミール茶を飲む

原作の終わりで、マグレガーさんは拾った小さな上着と靴を、黒い鳥を追い払うためのかかしとして利用します。ピーターの服は返されず、庭の側に残ってしまいます。物語は彼が落とし物を取り返す冒険へ続くわけではありません。

疲れ果てて家へ戻ったピーターは、巣穴の砂の上に倒れ込むように眠ります。母親は服をなくしたことに気づきますが、ピーターはその夜、体調がよくありません。母親は寝かせてカモミール茶を飲ませます。原作の結末で与えられるのは豪華なご褒美ではなく、休息と母親の世話です。

一方、フロプシー、モプシー、カトンテールはパンと牛乳と木イチゴの夕食を取ります。元気な兄弟たちと、疲れて寝込むピーターの違いで幕を閉じるため、「悪いことをしても冒険が成功した」という単純な成功物語にはなっていません。なお、本文に出てくるカモミール茶は物語上の描写であり、乳幼児への飲用を勧める医療・育児情報ではありません。

原作の教訓と権利――可愛さの奥にあるもの

この作品を「親の言いつけを守りましょう」という教訓だけで片付けると、少し惜しいところがあります。警告の理由を知っていたはずのピーターも、好奇心に動かされて危険へ近づきました。子どもの冒険心を愛らしく描きながら、その行動の結果を消していないところに物語の面白さがあります。

また、原作は野菜畑の持ち主が悪人だから追いかけたとは説明していません。ピーターには怖い体験でも、庭の持ち主にとっては作物を荒らす動物への対応です。見る側の立場によって同じ出来事の意味が違うという点にも気づかされます。

原典:Beatrix Potter, The Tale of Peter Rabbit(Frederick Warne, 1902年刊系統、英語本文/Project Gutenberg #14838)。成立史:ヴィクトリア・アンド・アルバート博物館の出版史、1901年私家版の書誌:モルガン図書館の蔵書記録。ポターは1943年没で原著の日本国内での通常の保護期間は経過しています。現代の日本語翻訳や版権管理下のキャラクター画像は転載せず、独自の日本語で内容を説明しました。

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