はじめに|「やればできる!」は誰の言葉か
「やればできる!」。お笑いコンビ・ティモンディの高岸宏行が口にする、明るく力強いフレーズとして知られている。一見すると、努力すれば必ず目標を達成できるという意味にも聞こえる。しかし、高岸本人はその受け止め方について、結果よりも挑戦したことで得られる成長を重視していると説明している。
言葉を励ましとして使うときほど、本人がどんな意味で語ったのかを確認したい。「やればできる」を無条件の成功保証にしてしまうと、挑戦してもうまくいかなかった人を責めることになりかねない。できたかどうかだけではなく、やって何を学んだかに価値を置く読み方が重要である。
愛媛県関連の「えひめスクラムプロジェクト」の2025年本人インタビューには、高岸がこの言葉を「やれば成長できる」の意味で伝えていると明記されている。また済美高校の学校公式ページは、「やればできる」を校訓として掲げる。本人の説明と、言葉が使われてきた学校の記録がそろっている。
「やれば」と「できる」をどう読むか
前半の「やれば」は、実際に取り組んでみるという行動を示す。頭の中で可能性を考えるだけではなく、動き出すことが必要だという意味がある。結果の前に、試すという選択を自分で取るところから言葉が始まる。
後半の「できる」は、何でも必ず成功するという予言のように聞こえることもある。しかし、高岸は本人の取材で、失敗から学ぶことも成長だと説明している。「できる」の対象を勝利だけに限定しないことで、挑戦の意味が広がる。
「できる」という言葉は、目標を達成できたかどうかだけでなく、昨日とは違うことを身につける意味でも受け取れる。その違いを意識すると、最初から難しそうだと諦める前に、小さく試してみる余地が生まれる。成功か失敗かの二択では測れないものがあるという気づきにつながる。
高岸本人が語った「やれば成長できる」の意味
2025年2月6日に実施された愛媛のインタビューで、高岸は「やればできる!」を自分の核になる言葉として選んでいる。そこで、成功しても失敗しても学べるため、挑戦すること自体に意味があると説明した。結果の保証ではなく、経験が成長へつながることを応援するのが本人の意図である。
ここで大切なのは、失敗を美化することでもない。失敗した理由を振り返り、必要な知識を得たり、方法を修正したりすることには手間がかかる。行動したという事実だけでなく、その経験をどう生かすかも、成長を考えるうえで欠かせない。
本人は、応援の言葉を受け取った人から反応が届くことにも触れている。ただし、誰にでも同じ言葉が同じように効くとは限らない。励ましを受け取る人の状況や気持ちにも目を向けてこそ、言葉が生きると考えられる。
済美高校の校訓が先に存在していたという事実
愛媛県松山市の済美高校の公式教育方針には、校訓として「やればできる」が掲げられている。同校の校長挨拶は、この言葉が野球部などの活躍を通じて知られ、近年はティモンディによって再び注目されたと説明する。高岸がまったく新しく作ったフレーズではなく、学校で大切にされていた言葉である。
Jタウンネットの2022年の学校取材は、校訓として定められたのは2007年で、高岸が在籍する前から使われていたと報じている。高岸も本人インタビューで、高校の教訓であると語っている。学校の使用と、本人の語る由来が一致している点は確認できる。
ただし、2007年に誰かが日本語の「やればできる」を初めて発明したという意味ではない。一般的な表現が学校で校訓となり、さらに芸人の言葉として広がったと理解するのが自然だ。言葉の発案者と、特定の場所で広めた人を分けて考えることが大切になる。
「必ず成功する」と解釈しないほうがよい理由
「やればできる」を文字どおりの確約と読むと、失敗した人はやり方が足りなかったと決めつけられてしまう。しかし、努力しても環境や体調、競争相手などの条件で望む結果に届かないことはある。本人の説明は、そうした現実を無視しているわけではない。
目標を達成できなかったときも、初めて挑戦した経験から次に使える知識を得られる場合がある。一方、何も振り返らなければ同じ失敗を繰り返すかもしれない。成長という価値は、実行と振り返りの両方によって形になる。
もちろん、試せば必ず成長するという言葉も、すべての状況へ当てはまる科学法則ではない。危険が大きい行動は避けるべき場合があり、挑戦をやめて別の選択をすることにも意味がある。励ましの方向性と、実際に取るべき判断は分けて考える必要がある。
仕事と学習で「やれば成長できる」を生かす
新しい作業を頼まれたとき、初めから完全にできる人は多くない。まず目的と安全な範囲を確認し、小さく試して結果を記録する。できなかったことを、次に何を学ぶべきかという情報へ変えると考えれば、挑戦のハードルが下がる。
誰かを励ます立場なら、ただ「できるはずだ」と迫るのではなく、試しやすい環境を作ることが役立つ。必要な手順を説明したり、質問できる相手を用意したりする。本人の意欲だけに任せず、挑戦が学びに変わる仕組みを整えることが重要だ。
行動を促す別の言葉として、林修「いつやるか?今でしょ!」の解説と比べることもできる。林の言葉は着手する時期に注目し、高岸の言葉は挑戦した結果としての成長を重んじる。「始めること」と「経験から育つこと」を区別して考えられる。
まとめ|この言葉が励ますのは挑戦する人の成長
ティモンディ高岸の「やればできる!」は、本人の説明では「やれば成長できる」という意味を持つ。努力すれば必ず勝つという断定より、挑戦から何かを学ぶ姿勢を励ます言葉として読むのが適切だ。
このフレーズは高岸が初めて作ったものではなく、母校の済美高校の校訓として公式に掲げられていた。学校の言葉が本人の経験を通じて、別の人にも届く励ましになった。受け継いだ言葉に、自分が大切にする意味を込め直すことも、言葉が広がる一つの姿である。
主要出典は「えひめスクラムプロジェクト」ティモンディ本人インタビュー(2025年2月実施)、済美高校公式教育方針、同校の校長挨拶、2022年の学校取材。本人の逐語説明と校訓の掲載は確認済みで、言葉そのものの史上最初の作者までは主張しない。