シャープ「目の付けどころがシャープでしょ。」の意味と出典|1990年から2010年の企業スローガン

はじめに|社名と「鋭さ」が重なる一節

「目の付けどころがシャープでしょ。」。家電メーカーのシャープが長く掲げた企業スローガンだ。社名としての「シャープ」と、着眼点が鋭いという意味での「シャープ」が重なっている。社名の音をそのまま商品の価値や企業の姿勢と結び付けたところが、忘れにくさの理由の一つだろう。

このコピーは「当社には高性能の製品があります」と機能だけを列挙するのではない。どこに目を向けるかという、製品を生み出す人の発想へ注目させる。商品の結果よりも、結果につながる視点そのものを評価してほしいと語りかけているように読める。

いまも昔のコピーとして思い出されるが、現在も公式スローガンとして使われていると決めつけてはいけない。シャープは2010年の公式発表で新しい言葉への変更を明記した。親しまれた期間と、現在の企業方針を区別したうえで、言葉の意味を考えたい。

出典|シャープ公式の2010年1月5日発表

シャープは2010年1月5日のニュースリリースで、新スローガンへの変更を発表した。その文書には、従来の「目の付けどころがシャープでしょ。」を1990年から使用してきたと明記されている。会社自身の正式な発表で、文言と採用開始年を直接確認できる。

同社は2010年1月から「目指してる、未来がちがう。」に刷新すると説明している。したがって、1990年から20年ほどの期間を象徴した表現であり、現在の広告で必ず使われるという意味ではない。言葉が長く記憶されることと、公式に使われる期間は別なのだ。

公式発表には「オンリーワン」という考えをより鮮明に示し、社会を変革したいという意図が記される。新旧の言葉は異なるが、独自の着眼点や技術によって価値を生むという方向には接点がある。企業が自ら何を変え、何を引き継ごうとしたのかを一次資料から読み取れる。

「目の付けどころ」の意味|何を見つけるか

「目の付けどころ」は、何に注意を向け、問題のどこを重要だと判断するかを表す。よい製品を作るには技術も必要だが、どの困りごとを解決するかという問いの設定も重要になる。同じ現実を見ても、何を問題として発見するかによって仕事は変わる。

「シャープでしょ。」というくだけた語尾には、相手へ親しみを込めて尋ねる響きがある。堅苦しい会社説明ではなく、ちょっと得意げな一言として聞こえる。企業が一方的に威厳を示すのではなく、聞く人に小さな会話を始める形になっている。

ただし、このコピーだけから、すべての製品が他社より独創的であると証明できるわけではない。性能や品質は個別に比較する必要がある。着眼点の鋭さを掲げることと、それを実際の製品で実証できることは違う。

社名を使った言葉遊び|二重の意味を残す

企業名をそのまま宣伝文に入れると、名前を知ってもらう目的は果たせる。しかし、ただ名前を繰り返すだけでは説明にならない場合がある。この一節は「シャープ」の二重の意味を生かした。覚えてもらう名前と、覚えてほしい企業の性格が同じ言葉に重なるのである。

英語のsharpには鋭いという意味があり、日本語でも「鋭い判断」「切れのある」という感覚で使われる。社名がこの意味を連想させるため、商品を詳しく知らない人にも方向性が伝わりやすい。言葉の意味を借りて企業の印象をつくるという広告の工夫だ。

もっとも、コピーの制作者が考えた細かな意図をすべて知っているわけではない。今回直接確認したのはシャープ公式の使用記録と刷新の説明である。社名と形容詞の重なりは言葉の分析として示し、未確認の制作秘話を事実として書かない。

現代の仕事への応用|問題の見方を変えてみる

新しいサービスを考えるとき、他社にない機能を増やすことだけが独自性ではない。利用者が気付いていない不便を見つけることもある。何を解決するのかを問い直すことが、ものづくりの最初の創意になるという視点を、このコピーから考えられる。

一方で、奇抜なら何でもよいわけではない。目新しくても使う人にとって複雑すぎれば、便利さにつながらない。鋭い着眼点は、問題を正しくつかみ、実際に役立つ形まで確かめることと一組になるはずだ。

同じ企業の挑戦を語るHonda「The Power of Dreams」と比べると、Hondaは未来へ向かう夢を、シャープのコピーは何に着目するかを強調している。「どこを目指すか」と「何を見るか」は、似ていて違う企業の問いなのである。

まとめ|1990年の言葉を2010年の公式発表から確かめる

「目の付けどころがシャープでしょ。」は、シャープが1990年から使用してきた企業スローガンである。2010年1月5日の公式発表で、その文言と新スローガンへの変更が確認できる。企業当事者の記録に直接対応するため、出典タグ114とした。

この表現は、社名と鋭い着眼点という意味を重ね、商品を生み出す会社の発想を印象付けている。具体的な機能を長く説明しなくても、企業が何を大切にするかを短い言葉で示せる広告の例だ。

出典はシャープ公式「新スローガン“目指してる、未来がちがう。”」(2010年1月5日)。従来の言葉が1990年から使われ、2010年に刷新されたという時期を分けて記した。

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