児島青「趣味って、楽しむことって、面倒くさいことじゃないかと思うんです」の意味と出典|古本屋で見つける冒険

はじめに|便利さだけでは測れない楽しみ

欲しい本をすぐに手に入れたいなら、インターネットで注文する方法は便利だ。けれども、棚の前で知らない本を見つける時間には別の楽しさがある。漫画家の児島青は、「趣味って、楽しむことって、面倒くさいことじゃないかと思うんです」と語った。効率を求めるだけではこぼれ落ちる、寄り道の価値を表した言葉である。

この発言は便利な仕組みを否定するものではない。児島はネットで本を買う方が速くて便利だという事情も認めている。その上で、趣味の楽しさには準備や手間も含まれているのではないかと問いかけた。目的のものを手に入れる過程そのものが体験になるという見方だ。

私たちは効率が良いと聞くと、時間を使わない方法が常に優れているように感じる。しかし使った時間にこそ意味が生まれる活動もある。省くべき負担と、自分から楽しむ手間を区別するために、この言葉を考えてみたい。

この名言の背景|『本なら売るほど』作者の読書観

朝日新聞の書籍メディア「好書好日」は2026年4月27日、漫画『本なら売るほど』の作者・児島青へのインタビューを公開した。作品は古本屋を舞台に、本を介して人の暮らしが交わる姿を描く。児島は自身にも古物商の経験があり、古い本や物を扱う喜びと切なさを知っていた。発言は実際に古本屋へ足を運ぶことの魅力を問われた場面にある。

取材では、絶版本に出会う楽しみや、古い装丁、書き込み、蔵書印に残る持ち主の痕跡が語られた。目当ての一冊だけを検索して買う場合とは異なり、店によって並ぶ本も空気も違う。探しているもの以外との偶然の出会いも、古本屋を歩く理由になるという背景が分かる。

物語に登場する本好きの人物の言葉から、取材は趣味の手間へ話を広げた。児島はスキーを例に、道具を用意して遠くの山へ行くことまで含めて楽しむ人がいると説明する。本を手に入れるまでの移動や探索も、読書を取り巻く冒険の一部として捉えたのである。

この名言が示す深い意味|過程そのものが報酬になる

ある活動を単なる目的達成の手段と考えれば、途中の作業はできるだけ省いた方がよい。しかし趣味は、やっている間の感覚にも価値がある。古本屋で棚を眺める時間には、何も買わずに帰っても残る発見がある。成果の有無だけで、体験の価値を決めなくてよいということだ。

面倒には二種類ある。望んでいない手続きに追われる負担と、自分から選んで試行錯誤する手間である。両方を同じように美化すれば、単に不便を強いることになってしまう。楽しむ余地がある手間は、本人が選べることが前提だと押さえておきたい。

また、偶然の出会いは必ず起こるとは限らない。目的の本が見つからない日もあるし、店内で興味を引かれるものがない日もある。それでも次の店へ行きたくなるのは、結果を保証されない探索を楽しんでいるからだ。予測できないことをすべて失敗としない態度がここにはある。

この名言の現代的な解釈|最適化が進む生活で

音楽も映画も好みに合わせて推薦され、買い物は数回の操作で終わる。便利さのおかげで、多くの作品へ出会いやすくなった一方、偶然の出会いを自分で探す時間は減りやすい。自分が知っている好みの外側へ出かけることにも意味があると考えられる。

学習でも、最短で答えを得ることは役立つ。しかし分からないことを調べる途中で、思いがけない関連情報に興味を持つ場合もある。すべての場面で遠回りする必要はないが、学ぶことを楽しみたい日には、疑問から別の疑問へ寄り道する余白を残せる。

ただし、時間や体力、移動の自由には個人差がある。古本屋へ行くことが難しい人に、対面での探索だけが本物の楽しみだと言うべきではない。自分にとって選べる範囲で、過程を楽しめる方法を見つけるという解釈が現実的だ。

この名言を日常生活で実践する方法|小さな寄り道を選ぶ

次に本を探すとき、一度だけいつもと違う方法を試してみよう。書店の棚を見渡す、図書館の隣の分類へ寄る、知らない著者の短い作品を手に取る。買わなくても構わない。目的の本以外に何が目に入ったかを楽しむことが第一歩になる。

また、趣味で面倒だと思っている作業を一つ取り上げ、それが自分にとって本当に不要か考えてみる。準備する時間から楽しいなら残してよいし、負担ばかりなら道具を使って減らせる。手間を増やすことではなく、何を楽しみたいかで方法を選ぶのが大切だ。

本から会話が生まれる可能性については、駒田隼也の「本って在るだけで〈話の場〉になる」という言葉にも触れたい。本は読む瞬間だけでなく、探し、選び、人と話す体験まで広げられることを、二つの発言から考えられる。

まとめ|本を探すことも読書の冒険

「趣味って、楽しむことって、面倒くさいことじゃないかと思うんです」は、2026年4月27日公開の「好書好日」児島青インタビューにある。古本屋を訪れる魅力と、効率だけでは説明できない趣味の面白さを語る場面で、本人の発言として確認できる。

児島は古い本の装丁や持ち主の痕跡、店ごとの特色を面白がり、スキーの準備を例に趣味の手間を説明した。目当てのものを最短で手に入れることとは別に、探す過程を楽しむ人の視点を作品に織り込んでいるのである。

便利な方法を使ってもよいし、時間に余裕があれば寄り道してもよい。大切なのは他人の基準ではなく、自分がどこに楽しさを感じるかを確かめ、選べるようにしておくことだ。この言葉は日常の小さな冒険を思い出させてくれる。

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