任天堂・手嶋宏介「つくった人がゲームだと思えば、なんでもゲームです!」の意味と出典

はじめに|ゲームの定義を誰が決めるか

「つくった人がゲームだと思えば、なんでもゲームです!」。任天堂の開発者・手嶋宏介が『ナビつき! つくってわかる はじめてゲームプログラミング』の取材で述べた言葉だ。何を作ればゲームと呼べるのか、その基準を作り手本人へ返しているところに面白さがある。

敵を倒すルールや勝敗がなくてもよいのだろうか。手嶋は、ルールとアクションがなければゲームではないとは思わない、と説明する。完成された製品の型に合わせて、創作する前から可能性を狭めないという発想である。

もっとも、ゲームの学術的な定義がすべて不要だという主張ではない。作品を紹介するときには分類も役に立つ。遊びを始める人への励ましと、研究や流通のための分類は目的が異なることを踏まえて読みたい。

この言葉の背景|2021年任天堂の開発者インタビュー

任天堂は2021年6月10日、『はじめてゲームプログラミング』の開発者インタビューを公開した。第4回「プログラミングすることの楽しさ」で、手嶋宏介と益田直生が、完成した作品だけでなく制作中の試行錯誤について語っている。発話者と開発の意図を本人の説明から直接確認できる。

益田は、花を並べてお花畑を作ったり、そこへUFOを飛ばしたりするだけでも素敵だと例を挙げる。インタビュアーが、思い思いのゲームを完成させてほしいという意味か尋ねた後、手嶋が今回の一節で答える。高度なゲームを完成させることより、自分で作り出す行為を肯定する文脈だ。

さらに手嶋は、プログラミング途中に生まれる発見や、完成させる楽しさを大切にしたかったと説明する。この発言はソフトの販売規模や技術仕様を誇るものではない。初心者が手を動かし、変化を発見する過程そのものに価値を見いだした言葉である。

この名言が示す深い意味|創作には正解の前に発見がある

初めて何かを作る人は、立派な完成品を想像して手が止まりやすい。しかし小さな動きが生まれた時点でも、そこには自分なりの発見がある。評価される完成品だけを目標にしないことで、試す余地が生まれる。

ゲームを作るには、技術面の制約もある。インタビューでは使えるノードンやワイヤーの数に上限があると説明されている。だからこそ、制限の中で工夫する楽しみを見つけられる。自由とは何も制限がないことではなく、制約の中で選択を重ねることでもある。

ただし「なんでもゲーム」と言えば、他者への配慮や権利の確認を省いてよいわけではない。共有する作品なら、扱う素材や受け取る人への注意が必要になる。自由な発想と、公開する際の責任を分けて考えることが重要だ。

現代的な解釈|学びを完成品の競争にしない

プログラミング教育では、動くソフトを作ったという成果が目に見えやすい。しかし仕組みを少し変えたら何が起こるかを確かめる時間にも価値がある。正解へ一直線に進むことと、自分で問いを立てられることは別の学びである。

仕事のアイデア出しでも、最初から事業として成立する完成案ばかり求めると、実験的な発想を言いにくくなる場合がある。小さな試作を見せ合う場があると、会話が進むこともある。未完成を共有できる環境が、新しい発見の入り口になる。

一方で、試作と製品化には違う判断が必要だ。利用者の安全や運用費など、後から検討すべき条件もある。自由に作る段階と、他の人に使ってもらう段階で求められる品質を切り分けることが現実的だ。

日常生活で実践する方法|小さな試作を始める

新しいことを学ぶとき、まず十分ほどで試せる小さな課題を選ぶ。画面上の図形を一つ動かすだけでもよい。完成品を思い浮かべて止まるより、動かして結果を見る経験を先につくると始めやすくなる。

一度動いたら、数値や配置を一つだけ変えてみる。予想どおりでも違っていても、何が起こったかを記録する。他人の作品をそのまま真似するところから、自分の問いを加えるところへ進める。

人へ見せる場合は、すごい作品だと説明するより、どの部分が楽しかったかを話してみるのもよい。評価が欲しいのか、意見を聞きたいのかも伝える。作品の優劣だけでなく、制作した人の経験にも関心を向ける関係を育てたい。

まとめ|ゲームを作る楽しさを取り戻す

手嶋宏介の「つくった人がゲームだと思えば、なんでもゲームです!」は、2021年6月10日公開の任天堂公式インタビュー第4回に確認できる。ゲームの枠を狭く決めず、制作する人の発見を肯定する場面の本人の発言である。

この言葉は、どんな作品も商品として完成しているという主張ではない。作り手が最初の一歩を踏み出すとき、厳格な定義に縛られず、自分なりの遊びを見つけてほしいという呼びかけだ。試すことを、完成への単なる準備ではなく楽しみとして扱う視点が残る。

ゲームで相手の視点を体験する設計を考えるなら、yona「なぜそうしたのかがわかる瞬間を体験してもらう」も関連する。手嶋は自由に作る入口を、yonaは特定の感情に気づく体験の設計を語る。原典:任天堂「開発者に訊きました」。

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