はじめに|大きな目標の根にある好きという気持ち
「スノーボードが大好きだという純粋な情熱」。アルペンスノーボードの杉本志功が、2026年のJOCアスナビ企業説明会で自分の最大の強みとして語った言葉だ。結果や記録だけでなく、競技を好きであり続ける気持ちを強みとして説明したことが印象に残る。
スポーツでは勝つための練習が欠かせない。しかし、勝利への義務感だけでは長い時間を続けられない場合もある。杉本の言葉は、競技そのものが好きだからこそ環境を変え、挑戦し続けてきた自分の経験に支えられている。
ただし、好きであればどんな困難も必ず乗り越えられるという話にしてはならない。費用、健康、指導、移動の条件も競技生活には関わる。気持ちの強さと、それを実現するための支援を分けて考えることが大切だ。
原典|JOCの2026年10月14日付公式記事
出典は日本オリンピック委員会の「JOCの就職支援『アスナビ』:9月11日企業説明会を実施」(2026年10月14日付)である。杉本志功選手の本人スピーチ欄に「私の最大の強みは、スノーボードが大好きだという純粋な情熱です」と記録されている。話者・競技種目・文言・発言の場を公式記録で照合できる。
アスナビは、競技活動を続ける選手と採用を検討する企業をつなぐ就職支援の取り組みだ。この説明会には就職希望選手5人が登壇した。メダル授与式の言葉ではなく、企業へ自分の強みと競技への思いを伝えるスピーチであることを押さえたい。
杉本は、2030年フランスアルプス冬季大会に向けて新設された男女混合ペアレースについても述べている。しかし、出場や優勝が確定したわけではない。発言時点での目標と、それが将来達成されたという事実を取り違えないことが原典を読む際には必要になる。
年間を通じた移動|情熱が行動へ変わる
杉本は高校まで、日本が夏の時期にはニュージーランドの現地校に通い、年間を通じて雪を追う生活をしていたという。好きという感情が、国境を越えて学びと練習の環境をつくる行動につながっていたという具体例だ。
異なる言語や文化の中で暮らすことは、滑走技術だけでは解決できない課題を生む。必要な相手へ説明し、関係を築き、自分の生活を整える必要がある。競技以外の困難にも向き合った経験が、本人の言う適応する力につながったと読み取れる。
ただし、海外へ行ける環境はすべての選手に等しく与えられるわけではない。費用や家族の支援、進路の選択には差がある。一人の成功経験を、同じ道を選ばない人の努力不足と結びつけないことも忘れたくない。
海外の練習環境を自分で切り開く
高校2年生の秋に、杉本は単身でヨーロッパ遠征へ行き、自分で交渉して海外選手との練習機会をつくったと話している。好きだから頑張るというだけでなく、必要な相手へ働きかける具体的な行動があった。
競技の練習では、強い相手の動きを見たり、技術について話したりできる環境が重要になる。しかし環境を望んだだけで誰かが用意してくれるとは限らない。得たい経験を明らかにし、周囲と関係を築くという実践が、この言葉の背景にある。
一方で、競争相手と一緒に練習するには互いのルールや安全を尊重することも必要だ。自分の目標のために相手を利用すればよいという意味ではない。情熱が他者との協働を支える形になってこそ、学びの機会が広がる。
0.01秒の勝負と、競技への愛着
本人はアルペンスノーボードを、時速80キロほどの滑走で僅差を競う世界だと紹介する。非常に小さな差で順位が変わるからこそ、練習や判断の積み重ねが重要になる。結果が細かな数字で示される競技の中で、なぜ続けるのかという根本を問うのがこの言葉だ。
結果が良い日も悪い日も、同じように競技が好きだと感じられるとは限らない。調子を崩したり、期待と違う成績に落ち込んだりすることもあるだろう。一時的な感情の波と、長く大切にしている興味を区別すると、情熱の意味を考えやすい。
杉本は、新たな男女混合ペアレースに向けて世界の舞台を目指す思いを語った。個人の技術が必要な競技であっても、チームや支援者との関係は欠かせない。個人の好きという出発点が、他者と取り組む目標へ広がっている点に注目したい。
企業で働くこととの関係
アスナビのスピーチで杉本は、海外の環境で培った適応力や交渉力を、将来所属する企業にも生かしたいと述べている。競技実績だけを示すのでなく、競技の過程で得た経験が仕事でどう役立つかを説明しようとしている。
ただし競技で挑戦できたことと、職場のあらゆる課題を解決できることは別だ。仕事には専門知識や顧客の事情、組織のルールがある。自分の強みを伝えながら、新しい環境で学び直す姿勢も必要になる。
同じスポーツ選手の言葉ハブでは、競技での判断や再挑戦を語った別の選手の言葉も読める。どの選手にも当てはまる根性論にまとめず、本人が何を経験して語ったのかを分けて比較することができる。
まとめ|好きという気持ちを選択と行動へつなぐ
杉本志功の「スノーボードが大好きだという純粋な情熱」は、JOCが2026年10月14日に公開した9月11日アスナビ説明会の本人スピーチで確認できる。海外での学習や遠征、練習環境の開拓を支えた思いとして位置づけられる。
この言葉は、競技を好きであるだけで何でも達成できるという保証ではない。支援を受け、必要な技術を学び、他者と交渉する過程が欠かせない。情熱を結果の代わりに置くのではなく、行動を始めて続けるための源として捉えるとよい。
原典確認:JOC「9月11日企業説明会を実施」(2026年10月14日)の杉本志功選手のスピーチ。タグ114根拠:本人が自分の最大の強みとして「スノーボードが大好きだという純粋な情熱です」と述べた原文を確認。関連する発言はスポーツ選手・指導者の言葉ハブから探せる。