「他人の自由を否定する者は、自ら自由を受けるに値しない」リンカーン|意味・背景・出典

名言・格言

これはリンカーン本人の手紙に残る言葉

「他人の自由を否定する者は、自ら自由を受けるに値しない」。この言葉はリンカーン本人の文章に確認できます。

1859年4月6日、リンカーンがヘンリー・L・ピアースらに宛てた手紙には、“Those who deny freedom to others, deserve it not for themselves” とあります。さらに原文は「正義ある神のもとでは、その自由を長く保つこともできない」と続きます。

背景にあったのは奴隷制をめぐる論争

この一文だけを切り取ると、現代的な「お互いの自由を尊重しよう」という一般論にも見えます。しかし手紙の文脈はもっと具体的です。リンカーンは、独立宣言に示された人間の権利をめぐる原則と、当時の奴隷制をめぐる政治的対立について論じていました。

直前には「奴隷になりたくない者は、奴隷を持つことにも同意してはならない」という趣旨の文章があります。したがって、この言葉は単なる人間関係の教訓ではなく、自分の自由を主張しながら他者を支配することの矛盾を指摘したものとして読む方が原文に近いでしょう。

自由という言葉を、自分だけのものにしない

自由は、自分が好きに行動できることだけを意味するわけではありません。複数の人が同じ社会で自由を持つ以上、自分に認める原則を他者には認めない、という矛盾が問題になります。

この言葉が今も引用される理由の一つは、権利を語るときに、その原則を誰にまで適用するのかという問いを残しているからでしょう。

まとめ

この言葉はリンカーンへの後世の誤帰属ではなく、1859年の本人書簡まで遡ることができます。そして原文の背景を知ると、抽象的な「自由の名言」以上の輪郭が見えてきます。

自分に求める自由と、他者に認める自由は同じ原則の上にあるのか。その問いとして読むと、言葉の重みがより明確になります。

出典メモ:Abraham Lincoln, Letter to Henry L. Pierce and Others, April 6, 1859. 『Collected Works of Abraham Lincoln』にも収録され、Library of Congress所蔵資料でも同文を確認できます。

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