ルソー「自由を放棄することは、人間であることを放棄すること」|『社会契約論』I・4の自由論

はじめに

「自由を放棄することは、人間としての性質を放棄することである」。これはルソー『社会契約論』第1編第4章「奴隷制について」に対応する真正な言葉です。

ただし一般的な「自分らしく生きよう」という自由論ではありません。ルソーは、人が自分自身を無条件に他人へ譲り渡し、絶対的服従を約束する契約は正当な契約になりうるのかを論じています。

自由と道徳的行為

ルソーは、自由を完全に意志から取り去れば、行為から道徳性まで取り去ることになると続けます。一方に絶対的権威、他方に無制限の服従を置く契約は空虚で矛盾している、とします。

したがって、この文章での自由は単なる「好きなことをする権利」ではありません。責任を伴う意志と、人間を道徳的主体として成立させる条件に関わっています。

まとめ

「自由を放棄することは人間であることを放棄すること」は真正なルソーの文章です。『社会契約論』では、奴隷制や絶対服従を契約によって正当化できるかという議論の中に置かれています。

何でも自由に選べることではなく、自分の意志そのものを全面的に他者へ譲渡できるのか。そこにこの一節の重さがあります。

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原典と出典状態

ルソー『社会契約論』第1編第4章「奴隷制について」の1762年初版校正済み本文に「Renoncer à sa liberté, c’est renoncer à sa qualité d’homme, aux droits de l’humanité, même à ses devoirs」とあります。契約による奴隷化・絶対服従の正当化を否定する議論の一部であり、個人の好き嫌いや気分だけの自由論とは異なります。

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