はじめに
「生きるとは呼吸することではない。行動することだ」。これはルソー『エミール』冒頭部に対応する真正な文章です。
ただし「目標を立てて積極的に行動しよう」という成功哲学ではありません。原文はさらに、感覚、精神、能力、自分の存在を感じさせるあらゆる部分を用いることだ、と続きます。
人生の長さより「生きている感覚」
ルソーは、生命とは日数の長さよりも、生きているという感覚にあるという趣旨を続けます。百歳まで生きても、十分に生きたとは限らない。
『エミール』という教育論の冒頭でこの言葉が置かれるのは、教育の目的を将来の肩書や職業だけに置かず、まず人間として生きる力を育てようとするためです。
まとめ
「生きるとは呼吸することではない」は真正なルソーの言葉です。しかし「とにかく行動しよう」というアクション主義だけではありません。
身体、感覚、精神、能力を働かせ、自分の存在を実際に感じながら生きる。そこまで含めて『エミール』の「生きる」です。
原典と出典状態
ルソー『エミール』第1編の原文に「Vivre, ce n’est pas respirer, c’est agir; c’est faire usage de nos organes, de nos sens, de nos facultés」とあります。生きるとは単なる呼吸でなく、器官、感覚、能力を使い、自分の存在を感じることだと続きます。ここから現代の「常に活動して生産性を高めよう」という標語へ短絡させないことが重要です。