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オスカー・ワイルドの童話2作品集|『幸福な王子』と『ざくろの家』の原典・収録作・読み比べ

オスカー・ワイルド(Oscar Wilde)の童話を探すとき、1888年刊『The Happy Prince and Other Tales(幸福な王子とその他の物語)』と、1891年刊『A House of Pomegranates(ざくろの家)』は別々の作品集であることが重要です。短編の題材や結末を混同しないよう、収録作品を初刊の作品集ごとに整理し、当サイトで読める原作解説へつなぎます。

このページは各短編のあらすじを重複して転載するためのものではありません。収録先を確認する・作品同士を比較する・原典を自分で読むための案内です。個別記事には結末までの説明があります。

1888年『幸福な王子とその他の物語』――5編を読む

1888年にDavid Nuttから刊行された作品集で、原題は The Happy Prince and Other Tales。CiNii Booksの1888年版書誌とProject Gutenbergの本文・目次の双方から、以下の5編を確認できます。

同じ作品集でも、5編がすべて「善いことをした人が報われる」物語ではありません。『幸福な王子』と『忠実な友』では犠牲が描かれますが、登場人物を取り巻く社会の反応は異なります。『すばらしいロケット』では、強い自己評価がむしろ滑稽さにつながります。作者の主張を一つにまとめるより、各物語が何を肯定し、何を皮肉っているのかを比べてみてください。

1891年『ざくろの家』――4編を読む

1891年刊の A House of Pomegranates には4編が収められています。Project Gutenbergの収録作品一覧や1891年版の書誌で作品名を確認できます。当サイトでは4編すべての個別解説が公開されています。

『ざくろの家』は、輝く衣装・美しい外見・王宮のぜいたくさが、しばしば他者の苦痛や不平等と結びつく作品集です。『若い王』と『王女の誕生日』は同じ王宮の物語ではありません。それぞれどの人物が何を知っていたのか、他者をどのように見ていたのかが違います。

2つの作品集をどう読み比べるか

「美しさ」と「価値」のずれを考えるなら、『幸福な王子』と『若い王』を読み比べてください。どちらにも美しい装飾品が登場しますが、物語はその輝きが社会のどのような犠牲と結びつくかを問い直します。装飾が失われた後の評価や、周囲の人々の理解の有無も対照的です。

「愛情」と「他者の尊厳」のずれを考えるなら、『ナイチンゲールとばら』『忠実な友』『王女の誕生日』へ。何かを与える側の意図と、受け取る側の理解・利害が一致するとは限りません。ただし、献身、搾取、残酷な嘲笑は同じ問題ではないため、それぞれの文脈を分けて読む必要があります。

「変わること」と「救済」を考えるなら、『わがままな巨人』と『星の子』へ。外見や振る舞いが変化した先に、宗教的なイメージや厳しい結末が置かれています。原作の終わり方を省いた再話だけを読むと、その差が見えにくくなります。

寓話と童話を混同しないために

同じ「教訓のある短い物語」として紹介されることがありますが、ワイルドの文芸童話と、ラ・フォンテーヌの『寓話』は、作者・成立時代・表現形式・引用されてきた経路が異なります。どちらかを単純な道徳教材として要約する前に、作品本文と登場人物の行動を確認してください。

ワイルドの生涯、戯曲や小説の「作者自身の発言」と「登場人物の台詞」の区別は、オスカー・ワイルド人物ガイドから読めます。ほかの昔話・童話の異版を探す場合は童話・寓話の総合ガイドへ進んでください。

原典・書誌の確認先

CiNii Books:The Happy Prince and Other Tales(1888年版) — 初刊時の書誌と5編の収録一覧。

Project Gutenberg:The Happy Prince and Other Tales — 英語本文。電子テキストは後年の刊本を底本としており、初版本の綴り・細部を完全に複製したものとは限りません。

Open Library:A House of Pomegranates(1891年刊) — 書誌と4編の一覧。

Project Gutenberg:A House of Pomegranates — 1915年の刊本から作成された公開英語本文。1891年初版そのものと混同しません。

日本語の題名は記事内の案内用表記です。訳語・翻訳文や挿絵の権利は別に判断する必要があるため、原文の全文転載や現代訳の無断転載は行っていません。