はじめに
「もし今日が人生最後の日だとしたら、今やろうとしていることは本当にやりたいことだろうか」。この言葉は、スティーブ・ジョブズが2005年6月12日にスタンフォード大学の卒業式で語った演説に確認できます。
原文では、ジョブズは過去33年間、ほぼ毎朝鏡を見て、If today were the last day of my life, would I want to do what I am about to do today? と自分へ問いかけてきたと話しています。そして「No」が何日も続けば、何かを変える必要があると考えた、と続けました。
この習慣は、がんを告知されてから始まったわけではない
この言葉はジョブズの膵臓がんと結びつけて説明されることが多いのですが、演説では「過去33年間」と明言されています。2004年のがん診断よりはるか前から、この問いを使っていたことになります。
演説ではその後、がんを告知された経験を語り、死を意識することが大きな決断を助ける重要な道具だったと説明します。つまり、長年使っていた問いが、死を現実として経験したことでさらに切実な意味を持ったと読む方が正確です。
「毎日好きなことだけをしろ」という意味ではない
この一文だけを見ると、「嫌な仕事はすぐ辞めるべきだ」といった人生訓にも見えます。しかしジョブズが問いに使ったのは、「今日やろうとしていることを、自分の人生の一日として本当に選びたいか」という優先順位の確認です。
一日だけ答えが「No」でも問題ではありません。本人も「Noがあまりに多くの日続いたとき」と話しています。短期的な不快さを避けるというより、長期にわたって自分の生き方が望む方向から外れていないかを点検する問いです。
死を意識すると、他人の評価が小さくなる
同じ演説でジョブズは、死を前にすると外部からの期待、プライド、恥や失敗への恐れなどが落ちて、本当に大切なものが残ると語ります。
この文脈では、「最後の日」を想像することは悲観的になるためではありません。有限な時間を前提にすることで、他人の評価や失敗への恐怖と、自分が本当に重視しているものを分けるための方法です。
まとめ
「今日が人生最後の日なら、今やろうとしていることをしたいか」は、2005年のスタンフォード大学卒業式演説に確認できるジョブズ本人の言葉です。
ただし、がんをきっかけに突然生まれた言葉ではありません。ジョブズは33年にわたりこの問いを使っていたと語っています。人生の有限性を使って、自分の選択が長期的に望む方向と一致しているかを点検する問いとして読むと、演説全体の文脈に近づきます。
出典メモ:Steve Jobs, Stanford University Commencement Address, June 12, 2005.
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