はじめに
「文章は短く、友情は長く」。ヴォルテールの名言として知られる言葉です。
原文は1732年3月8日、友人シドヴィルへ送った手紙に確認できます。ただし、抽象的な友情論として書かれた格言ではありません。短い手紙を詫びる場面で飛び出した、親しい友人へのユーモアを含む一言でした。
原文は「短い手紙と長い友情が私のモットー」
ヴォルテールは短い便りになったことを詫び、「courtes lettres et longues amitiés est ma devise」と書きます。直訳すれば「短い手紙と長い友情が私のモットーだ」です。
そしてすぐに、あなたの手紙まで短くなったら自分が損をするので困る、と続けます。つまり、荘重な人生訓というより、親しい相手との機知に富んだやり取りです。
短さと関係の深さは別物
この文脈を知ると、言葉の魅力も少し変わります。友情の深さはメッセージの長さでは測れない。しかし、自分は短く書いても相手からは長く便りが欲しい。そこにヴォルテールらしい軽さがあります。
現代なら、短いメッセージや返信の速さだけで人間関係の濃さを測らない、という読み方もできます。ただし、それは現代的な応用であって原典の主題そのものではありません。
まとめ
「文章は短く、友情は長く」はヴォルテールの真正な言葉です。出典は1732年3月8日のシドヴィル宛書簡。
格言として切り出すより、友人へ短い手紙を詫びながら「でも君の手紙は短くしないで」と続けた文章として読む方が、ヴォルテール本人の声がよく聞こえます。