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『十二夜』「生まれながらに偉大な者、偉大さを成し遂げる者…」|実は偽手紙の言葉

有名な「三つの偉大さ」は『十二夜』に登場する

「偉大な人間には三種ある。生まれた時から偉大な人、努力して偉大になった人、偉大になることを強いられた人」として知られる言葉は、シェイクスピア『十二夜』の有名な一節に対応します。

Some are born great, some achieve greatness, and some have greatness thrust upon ’em.

ただし、この一文を「シェイクスピアが成功者を三分類した人生論」として読むと、作品の面白い部分が抜け落ちます。

マルヴォーリオが読む「偽の恋文」に書かれた言葉

第2幕第5場で、マルヴォーリオは主人オリヴィアが自分を愛していると思わせる偽手紙を拾います。手紙はマリアたちが彼の自惚れを利用するために仕掛けたものです。

その偽手紙の中に「偉大さを恐れるな。ある者は偉大に生まれ、ある者は偉大さを成し遂げ、ある者は偉大さを押しつけられる」と書かれています。マルヴォーリオは、自分がオリヴィアと結婚して地位を上げられるという願望に合うため、その言葉を喜んで信じます。

努力論より、自惚れを刺激する仕掛けとして読む

旧記事では「生まれ、努力、環境という三つの経路から偉大さは形成される」と説明していました。しかし劇中では、この分類を真面目な成功哲学として検討しているわけではありません。

むしろ「自分は偉大になる運命だ」と思いたい人物へ、都合のよい言葉を与える罠です。有名な一文の格好よさと、それを信じ込むマルヴォーリオの滑稽さが同時に存在します。

後の場面でも繰り返される

マルヴォーリオは第3幕でもこの文句を繰り返し、オリヴィアをさらに困惑させます。観客は手紙が偽物だと知っているため、言葉が繰り返されるほど喜劇的な効果が強くなります。

名言だけを抜き出すと堂々とした人生訓ですが、作品へ戻すと、自尊心、野心、自己欺瞞をめぐる笑いの装置でもある。そこがこの引用の面白さです。

まとめ

「Some are born great, some achieve greatness, and some have greatness thrust upon ’em.」は『十二夜』に実際に登場するシェイクスピアの一節です。

ただし、作者本人が成功哲学として直接語った格言ではありません。自惚れたマルヴォーリオを騙すために作られた偽手紙の文句です。その劇的な文脈まで知ると、有名な「名言」はかなり違った顔を見せます。

出典メモ:William Shakespeare, Twelfth Night, Act 2, Scene 5. Malvolio reads the forged letter: “Some are born great, some achieve greatness, and some have greatness thrust upon ’em.”

シェイクスピアを人物から読む

ウィリアム・シェイクスピア人物ページでは、作品に実在する一節を「作者の名言」にせず、登場人物・偽手紙・巻物など話者と劇的文脈を区別しながら横断して読めます。