有名だが、チャーチルの言葉とは確認できない
「悲観主義者はすべての好機の中に困難を見つけ、楽観主義者はすべての困難の中に好機を見いだす」。チャーチル名義で非常によく引用される言葉です。
しかし、チャーチル研究者による包括的な引用集では誤帰属として扱われ、本人の演説・著作などに確実な出典は確認されていません。類似表現は1919年のBertram Carrの演説など、別の系譜をたどれます。
楽観と悲観は、どちらが正しいのか
この言葉は楽観主義を持ち上げる形をしています。ただ、困難に気づくこと自体は悪いことではありません。リスクを見つける力がなければ、好機だと思って無謀な判断をすることもあります。
反対に、問題ばかり見ていれば、試す前から可能性を閉じてしまいます。つまり必要なのは「常に楽観的であれ」という性格論ではなく、同じ状況の中でリスクと可能性の両方を見ることでしょう。
見方を変えても、現実は消えない
ポジティブに考えればすべて解決するわけではありません。困難には、本当に困難な理由があります。一方で、困難があるから可能性がゼロとも限りません。
楽観とは問題を見ないことではなく、問題を見たあとにも選択肢を探せること。そう読むと、単純なポジティブ思考より使いやすい言葉になります。
まとめ
この一文をチャーチル本人の名言として断定するのは避けるべきです。それでも、視点の違いを考える材料としては残せます。
いま見えている困難の中に可能性はあるか。そして、可能性ばかり見て見落としている困難はないか。二方向から眺める方が、現実的な判断につながります。
出典メモ:チャーチルへの確実な帰属は確認されていません。Quote Investigatorは近い表現を1919年のBertram Carrまでたどっており、チャーチル研究者Richard M. Langworthも誤帰属として扱っています。
チャーチルの言葉を人物から読む
ウィンストン・チャーチル人物ページでは、戦時演説、歴史観、伝統と革新をめぐる真正な言葉と、誤帰属・一次出典未確認の言葉を区別しながら横断して読めます。