はじめに
「牛になる事はどうしても必要です」。この言葉は、夏目漱石が1916年8月24日、芥川龍之介と久米正雄へ宛てた書簡に確認できます。
この手紙には、同じサイト内で別記事になっている「世の中は根気の前に頭を下げる」も含まれています。二つは別々の人生訓ではなく、同じ手紙の一続きの助言です。
漱石は「馬になりたがるな」と書いた
漱石は若い二人へ、「吾々はとかく馬になりたがるが、牛には中々なり切れない」という趣旨を書きます。
馬のように速く走ることより、牛のようにゆっくりでも押し続けることを勧める比喩です。
「牛になれ」だけを切り出すより、焦らず、根気強く、自分の仕事を押し続けるという手紙全体で読む方が意味が分かります。
若い作家への助言だった
芥川と久米は当時、漱石の門下にいた若い文学者でした。
漱石は才能を否定しているのではありません。むしろ若い才能が、早く結果を出そうとして消耗することを警戒しています。
火花のような一瞬の鮮やかさより、長い時間をかけて押し続ける力を重視しました。
「遅くてよい」と「何もしなくてよい」は違う
牛の比喩は、ゆっくりしていればいつか成功するという慰めではありません。
手紙では「死ぬまで押す」という強い表現まで続きます。速度を落とす代わりに、継続する。
焦らないことと、止まらないことを同時に求めるところに、この助言の厳しさがあります。
まとめ
「牛になることはどうしても必要です」は、1916年8月24日の芥川龍之介・久米正雄宛書簡にある漱石本人の言葉です。
同じ手紙の「根気」「火花」「死ぬまで押す」という文章と一緒に読むことで、単なる「のんびりしよう」ではなく、長期的に仕事を続けるための助言だと分かります。
出典メモ:夏目漱石、芥川龍之介・久米正雄宛書簡、1916年8月24日。
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