「天才とは世紀を照らす流星である」はナポレオンの言葉?|古い語録では「偉大な人々」

はじめに

「天才とは、彼らの世紀を照らして光り輝くべく運命づけられた流星である」という日本語は、ナポレオンの名言として流通しています。

しかし、20世紀初頭の『Sayings of Napoleon』に確認できる形では、主語は「天才」ではなく「偉大な人々」です。また「世紀を照らす」という部分も、確認した英語の語録とは異なります。

流通過程で日本語が変形している

古い語録の趣旨は、偉大な人々を流星にたとえ、強く輝くと同時に自らを費やしながら地上を照らす、というものです。

日本語では「偉大な人」が「天才」へ変わり、「地上」が「彼らの世紀」へ置き換わっています。

名言は翻訳・要約・再引用を繰り返すうちに、より印象的な形へ変化することがあります。この一句はその可能性が高い例です。

古い語録にあるが、一次の発言場面は未特定

類似する文は古いナポレオン語録に収録されているため、最近のインターネット創作とまでは考えにくいものです。

一方、今回の監査では、ナポレオン本人のどの書簡・命令・会話記録に由来するかまでは特定できませんでした。

したがって、古いナポレオン語録に類似文あり/日本語は変形/一次出典は未特定とするのが妥当です。

「偉大さ」と自己消耗

流星の比喩が示すのは、目立つ輝きだけではありません。強烈な活動が、本人自身の消耗と結びつくという両面性も含みます。

そのため現代の仕事論へ使う場合も、「成功するには自分を削り尽くせ」という教訓へ変える必要はありません。むしろ、偉大さを称える物語が、その人の消耗を美化していないかを考える材料になります。

まとめ

現在の日本語句は、古いナポレオン語録にある「偉大な人々は流星のようだ」という比喩と対応しますが、語句がかなり変化しています。

ナポレオン本人の一次資料まで戻れていないため、確定発言とはせず、伝承過程も含めて紹介します。

出典メモ:Sayings of Napoleon に「偉大な人々」を流星にたとえる類似文を収録。一次発言の場面は現時点で未特定。

ナポレオンを人物から読む

ナポレオン・ボナパルト人物ページでは、本人の書簡・演説、後年の回想、20世紀の語録集、一次出典未確認の流通句を資料距離ごとに分け、ナポレオン像がどのように作られたかを横断して読めます。

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