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ヘッセ「自分の道を行く者は英雄だ」|随筆「Eigensinn」の文脈と意味

はじめに

「自分の道を進む人は、誰でも英雄です」。この日本語に対応するヘルマン・ヘッセの文章は、「Eigensinn(自分自身の意志/我意)」をめぐる文章に確認できます。

原文では、Jeder, der seinen Weg geht, ist ein Held.――「自分の道を行く者は、誰でも英雄だ」と書かれています。

ここでいう「英雄」は成功者ではない

重要なのは、その直後です。ヘッセは、自分にできることを実際に生きる人は英雄であり、たとえその人が愚かなことや時代遅れのことをしていたとしても、美しい理想を語るだけで何も差し出さない人より重い、と論じます。

したがって「好きな道を選べばあなたも英雄」という成功哲学ではありません。自分が信じるものを、言葉だけでなく生き方として引き受けることが問題になっています。

「Eigensinn」は単なる頑固さではない

ドイツ語の Eigensinn には、頑固さ、我意という否定的な響きもあります。ヘッセはその言葉を反転させ、自分自身の声に従う力として捉え直しました。

だから「自分の道」は、周囲を無視して好き勝手に振る舞うことではありません。社会の評価や既製の理想を借りるだけでなく、自分が何を引き受けるのかを自分で決めることです。

『デミアン』と似ていても、出典は別

自分自身になるというテーマは『デミアン』にも強く現れます。そのため、この言葉を『デミアン』由来だと説明したくなりますが、作品のテーマが似ていることと引用元が同じことは別です。

名言を読むときには、「ヘッセらしい思想」から作品名を推測するのではなく、実際の文章がどこにあるかを確かめる必要があります。

まとめ

「自分の道を行く者は英雄だ」は、ヘッセの Eigensinn をめぐる文章に確認できる言葉です。

ここでの英雄とは、有名になる人でも、正しい選択だけをする人でもありません。借り物の理想を語るだけでなく、自分の選択を実際に生き、その代償まで引き受ける人です。

出典メモ:Hermann Hesse, “Eigensinn”. 後に『Sinclairs Notizbuch』等へ収録され、Volker Michels編『Eigensinn macht Spaß』にも収録されています。

ヘルマン・ヘッセの人物ページへ → 生涯、主要作品、孤独、愛、反戦思想と、詩・随筆・文学的語り手を区別した名言の原典をまとめて読めます。

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