はじめに
「知識は力である(Knowledge is power)」。フランシス・ベーコンを代表する言葉として知られています。
その核になる文章は1597年の『Meditationes Sacrae』にあり、ラテン語で「ipsa scientia potestas est」、すなわち「知識そのものが力である」と読めます。
単なる「勉強すれば強くなる」ではない
現代では資格取得や情報収集を励ます言葉として使われがちです。しかしベーコンの知識観では、知ることは自然に働きかけ、結果を生み出す能力と深く結びつきます。
後の『ノヴム・オルガヌム』でも、人間の知と人間の力は重なり合うという考えが示されます。原因を知らなければ、自然を思い通りに働かせることもできません。
知識の目的は人間生活に役立てること
ベーコンは知識を、議論に勝つため、名声を得るため、他人より優位に立つためだけに求めることを批判します。知識は人間生活の利益と利用へ向けられるべきだと考えました。
だから「知識=権力を得る武器」とだけ読むのも狭すぎます。知ることによって、世界に対してより確かな働きかけが可能になるという思想です。
まとめ
「知識は力である」にはベーコン自身の明確な原典があります。
ただ知識量を増やすのではなく、世界の仕組みを理解し、人間の生活を改善する働きへ変える。そこまで含めると、この有名な一言がベーコンの科学観につながります。
この言葉をテーマから読む
ベーコンの「知識は力」を、単なる勉強のすすめではなく「知ることと行為」の関係として比較するなら、「知るとは何か」へ。デカルト、モンテーニュ、ショーペンハウアーとの違いから、知識・方法・無知・独立思考を横断して読めます。