はじめに
「創作は常に冒険である。所詮は人力を尽した後、天命に委かせるより仕方はない」。この言葉は芥川龍之介『侏儒の言葉』の「創作」という項目に確認できます。
「挑戦しよう」という一般的な創作論より、作者が作品を完全には制御できないという感覚から出た文章です。
作品には作者の意識を越える部分がある
この一節の直前で芥川は、芸術家が意識的に作品を作るとしても、作品の美醜の一部、あるいは大半は、芸術家の意識を超えた「神秘の世界」にあると書きます。
自分が何を狙って書いたかだけで、作品のすべては決まりません。
無意識、偶然、読者の受け取り方、時代との関係など、作者の計画を超えるものが作品へ入り込みます。
「天命に任せる」の前に「人力を尽くす」がある
この言葉は、運任せの創作を勧めているわけではありません。
人力を尽くした後でも、なお自分では決められない部分が残る。その順序が重要です。
技術を磨き、考え、書き直し、できることをした上で、最後に作品がどう生きるかは作者の手を離れる。努力と制御不能性の両方を認めた創作観です。
まとめ
「創作は常に冒険である」は『侏儒の言葉』に確認できます。
冒険とは派手なテーマへ挑戦することだけではなく、作者がすべてを支配できない領域へ作品を送り出すことでもあります。
出典メモ:芥川龍之介『侏儒の言葉』「創作」。青空文庫公開本文で確認。
この言葉を『侏儒の言葉』全体の警句から読むなら『侏儒の言葉』作品ページへ。『河童』『芋粥』なども含めて作者からたどるなら芥川龍之介人物ページへ。