「たぶん失敗するだろうと思ったけど、重要なことだからやることにした。」
イーロン・マスクの言葉として日本語で流通する表現です。完全に同じ英文ではありませんが、2012年のCBS『60 Minutes』に、意味の核となる本人発言を確認できます。
2012年『60 Minutes』でSpaceXについて語った
記者Scott Pelleyが、ロケット業界の経験がなかったのに「なぜ始めたのか」と尋ねた場面で、マスクは次のように答えています。
When something is important enough, you do it even if the odds are not in your favor.
出典:CBS News / 60 Minutes「SpaceX: Entrepreneur’s race to space」
「失敗すると思った」より「確率が味方していなくても」
日本語流通形の「たぶん失敗するだろうと思ったけど」は、原文の even if the odds are not in your favor をかなり自然な物語に言い換えています。
マスク自身は直前に、ロケットについて何も知らず、成功確率が自分に有利だと思うなら「正気ではない」という趣旨も語っています。その文脈と合わさって、日本語では「失敗すると思ったが重要だからやった」という形へ要約されたと考えるのが自然です。
SpaceXの失敗談を後付けしすぎない
同じインタビューでは、Falcon 1の最初の3回の試験飛行が軌道到達に失敗し、4回目が成功した経緯も語られています。
ただし、この一文を「3回失敗した後に生まれた言葉」と決めつけるのは正確ではありません。質問は、そもそもなぜSpaceXを始めたのかという文脈です。
現代で読むなら
成功確率が低いことと、挑戦する価値が低いことは同じではない。マスクの回答は、この二つを分けています。
もちろん、重要だと思えば何でも無謀に挑戦すべきだという万能則ではありません。元の発言は、宇宙輸送のコストを下げることを重要だと判断した本人の具体的な意思決定について語ったものです。
出典状態
意訳・文言変化。2012年『60 Minutes』で本人の “When something is important enough…” を確認できます。日本語の「たぶん失敗するだろうと思ったけど」は前後の文脈をまとめた流通形です。