「言いたいことは言う。その時は心を込めて言う」。甲本ヒロトの言葉として知られる短い一文です。率直に話すことと相手への誠実さを両立する、という読み方ができます。ただし、この一文を実際に本人がどの媒体の、どの場面で話したのかは未特定です。出典が不確かな短句をただ持ち上げるのではなく、本人に直接取材した資料と比較しながら考えます。

名言としての流通は確認できるが、元のインタビューは不明
2014年7月の個人ブログ「甲本ヒロトの名言がアツい!47選」や「夢を叶える名言集」の甲本ヒロトページに、この言葉が掲載されています。2020年のブログによる語録の紹介にも同じ短句が見られます。
ただし、名言を集めたページには個々の言葉の出典がない場合が少なくありません。2014年の記事には別の発言について雑誌名を挙げる箇所もありますが、その書誌が対象の短句に対応していることは確認できません。したがって、近くに雑誌名があるからという理由で、この一文の初出だと断定しないことが重要です。
本人への取材①:伝えたい相手がいるなら直接伝える
Rolling Stone Japanの取材を掲載した2021年の配信記事では、甲本が音楽を通じて特定の相手にメッセージを届けようとするのか、と問われています。甲本は、特定の誰かに伝えたいことがあるなら本人に会って直接伝える、という趣旨で答えています。
この答えは、聞き手を想定して作るラブレターと、不特定多数の人が聴く楽曲を分けるものです。「言いたいことを言う」という部分だけを切り取ると、誰にでも何でも主張し続ける姿勢を想像するかもしれません。しかし、本人が具体的に話した別の取材では、相手に直接伝えることと、音楽を作ることを区別しています。
なお、この2021年の取材に「言いたいことは言う。その時は心を込めて言う」という短句が載っているわけではありません。似たテーマの実際の本人発言として参照しています。
本人への取材②:歌詞は一つのメッセージに閉じない
Billboard JAPANの『HEY! WONDER』発売時インタビューでは、甲本は自分の歌詞を、聴き手へ特定の意味を一方的に教えるものとして位置づけていないと語っています。受け手が自分の内側で何を感じるかを大切にするという趣旨です。
文章で説明することと、歌として表現することでは届き方が違うという話もあります。したがって、甲本の表現を「主張を明確な言葉にして、全員に理解させること」と単純化するのは適切ではありません。
「心を込めて」の難しさ
相手へ心を込めて何かを伝えるとき、熱意が強ければ伝わるとは限りません。相手がその話を聞ける状況にあるのか、どのような言葉なら伝わるのか、意見が違う場合にも相手を尊重できるか。具体的な配慮が必要なこともあります。
自分の思いを言葉にする勇気と、相手の反応を尊重することは両立します。たとえば、どうしても謝りたいとき、仕事で改善を提案したいとき、身近な人へ感謝を伝えたいときは、相手の事情を考えたうえで、曖昧にせず伝えることができます。
一方、無理に発言することを「誠実」と決めつける必要もありません。対立を避けるために考える時間を取ることや、言い方を変えることが適切な場面もあります。
自分の言葉を持つための三つの問い
- 目的:相手に何を知ってほしいのか。それは相手にとって必要な情報か。
- 伝え方:勢いで言うより、状況や関係性に応じて言い方を工夫できるか。
- 余白:自分の意図が完全には伝わらない可能性も受け止められるか。
この三つは当サイトの考え方です。甲本本人がこの形で提示した原則ではありません。また、誰かに伝えることと、作品で自分の感覚を表現することは違う場合もあります。
まとめ:率直さと、届き方への想像力
言いたいことを自分の言葉で伝えることには価値があります。それと同じくらい、相手がどう受け取るか、伝わらないこともあるかもしれないという想像力が大切です。甲本ヒロトの言葉として流通するこの短句を読む際にも、本人が実際の取材で語った、直接の対話と音楽表現の違いを踏まえると、単純な精神論にせず考えられます。
出典の確認と未確認の部分
- HIGH&LOW「甲本ヒロトの名言がアツい!47選」(2014年):対象短句の流通例。個別の一次出典は不明。
- 夢を叶える名言集「甲本ヒロト」:同じ言葉の紹介例。原典ではありません。
- 個人ブログ「ブルーハーツ:甲本ヒロトの名言」(2020年):別の流通例。
- Rolling Stone Japanインタビュー配信記事(2021年):特定の相手への伝達と音楽表現を分ける本人の説明。対象短句の出典ではありません。
- Billboard JAPANインタビュー(2024年):メッセージと歌詞表現についての本人の説明。対象短句の出典ではありません。
出典状態:要検証。2014年には名言集に掲載されていますが、本人がいつどこで話したかを示す録音・書籍・雑誌の掲載箇所は未特定です。別の本人インタビューが示す主題の類似を出典証明とは扱いません。出典ステータスの読み方も参照してください。
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