“If you wish for peace, understand war.”
「平和を欲するなら、戦争を理解せよ」。この言葉は英国の軍事思想家B.H.リデル・ハート本人の著作に確認できる標語です。
リデル・ハート自身が「新しい格言」として提示した
リデル・ハートは1930年代の著作で、古い「平和を欲するなら、戦争に備えよ」という格言を批判し、代わりに「平和を欲するなら、戦争を理解せよ」という新しい格言を提示しています。
軍事史研究でも、リデル・ハートの The British Way in Warfare の該当箇所を引用し、この表現を本人の標語として扱っています。
参考:Alex Danchev, “Liddell Hart’s Big Idea”
さらに英国議会の1960年議事録でも、リデル・ハートの言葉としてこの一節が引用されています。
参考:UK Parliament, Hansard, 16 Dec 1960
「戦争に備えよ」から「戦争を理解せよ」へ
この言葉の核心は、軍備を増やせという単純な主張ではありません。戦争を防ぎたい側こそ、戦争の原因だけでなく、実際にどのように始まり、進み、誤算が拡大するのかを学ぶ必要がある、という発想です。
リデル・ハートにとって、戦争への無知は平和主義者を無力にします。軍事的な議論を理解できなければ、「軍事上必要だから」という主張を検証することもできないからです。
現代で読むなら
「嫌いだから知らなくてよい」という態度では、危険なものを制御できない。この構造は戦争に限りません。避けたい問題ほど、その仕組みを理解する必要があるという認識論的な教訓としても読めます。
ただし、リデル・ハートの本来の文脈は軍事と平和です。一般論へ広げる前に、まず「戦争を科学的に研究することで平和に役立てる」という本人の問題意識へ戻るのが重要です。
出典状態
出典確認済み。リデル・ハート本人の1930年代の著作に確認でき、後年の議会記録・軍事史研究でも本人の標語として引用されています。