赤﨑勇「流行にのらず、好きなことをやりなさい」|2014年報道と本人の研究史から解説

「流行にのらず、好きなことをやりなさい」は赤﨑勇の言葉か

周囲が注目するテーマではなく、自分が本当に取り組みたい問題を選ぶ。青色発光ダイオード(LED)の研究で知られる赤﨑勇には、そのような考え方を表した「流行にのらず、自分が本当に好きなことをやりなさい」という言葉があります。これは単なる名言サイトの孫引きではなく、当時の報道や政府の教育資料にも掲載が見られる表現です。

2014年10月7日付の朝日新聞系メディア「withnews」の記事は、ノーベル物理学賞受賞が決まった赤﨑の研究を紹介し、若い研究者へのメッセージとしてこの一文を含む本人の説明を掲載しています。2020年2月19日の内閣府関係会議資料にも、赤﨑の会見・インタビューの言葉として紹介されています。報道機関の記事と公的な教材資料の双方から帰属をたどれるのが、この言葉の重要な点です。

ただし、2014年の記事が最初の発言だったのか、会見や取材の音声と一字一句一致するのかは別問題です。掲載が確認できることと、発言の初出・録音の逐語照合が完了したことは区別しながら、赤﨑自身の文章が示す背景も読み解きます。

2014年10月の報道で、言葉の文脈を確認する

withnews「ノーベル賞の赤崎勇氏、不可能だった『青色LED』実現した逆転方法」(2014年10月7日)は、赤﨑の研究とともに、流行する研究に乗ることを避けて自分の関心を重んじる姿勢を紹介しています。受賞直後の報道で本人に帰属する言葉として確認できる資料です。

この紹介には、流行を追わないことと、結果がすぐに出なくても諦めないことが結び付けられています。赤﨑は、どんな研究にも最初から成功の保証があるわけではないという趣旨を説明しています。「好きなこと」とは簡単に成功できることではなく、答えがない時期にも考え続けたい対象を指すと読めます。

記事の言葉をそのまま一つの普遍的な成功法則へ変えることは避けたいところです。赤﨑の考えを知るうえでは有力な掲載ですが、新聞の引用は編集を経た記録であり、元の会見録・取材音源を直接照合したとまでは言えません。日時を示せる報道と、発話の逐語原記録の違いを意識します。

2020年の政府資料にも掲載された

内閣府「知財創造教育推進コンソーシアム」検討委員会の資料3-1は、2020年2月19日の会議に提出された、高知市立小学校教諭による実証授業の報告です。冒頭付近の理科授業の説明に、赤﨑ら青色LED開発者の紹介があり、子どもたちに研究と継続の意味を伝えるため引用した言葉として掲載されています。

資料には、青色LEDの実用化が難しかったからこそ自分が挑もうと思ったという説明と、若い人には流行より自分の興味を大切にしてほしいという言葉が並んでいます。元の研究を単に美談にするのではなく、理科で学ぶ発明や発見の意味を考える教材として使われていることが分かります。

この資料は内閣府関係の公式サイトに置かれていますが、政府機関が赤﨑本人に直接取材して発言録を作成した資料ではありません。授業担当者が既存の会見・インタビューの言葉を教育用に紹介したものです。信頼できる掲載先であることと、一次発話の記録であることを同じにしないようにします。

2011年に本人が書いた研究史を読む

赤﨑の研究への姿勢は、本人の文章からも確かめられます。『學士會会報』第888号(2011年5月)所収、赤﨑勇「青色発光素子の開発を諦めずに挑み続けられたのは何故か」では、1973年に窒化ガリウムの研究を始めた背景と、当時の技術的な壁が本人の筆で説明されています。

赤﨑は、青色の発光素子の実用化が見通せない状況、窒化ガリウムの結晶品質を高める難しさ、電気的な性質を制御する課題などを具体的に記しています。苦難を一言で美化するのでなく、何が難しかったかを技術の言葉で示している点が重要です。

ここで注意したいのは、2011年の本人寄稿から、今回の「流行にのらず」という短い一文が逐語的に見つかったと主張するものではないことです。寄稿は研究史と選択の根拠を確認する一次資料、短い名言の文言は2014年報道と2020年教材で確認した掲載として分けています。

「流行にのらない」とは、流行を無視することではない

自分が好きなテーマに取り組むことは、世の中の状況を知らなくてもよいという意味ではありません。研究を進めるには、どこまで分かっているか、他の研究者が何を試しているかを調べる必要があります。新しい情報を取り入れることと、他人の評価だけで研究テーマを決めることは異なるのです。

赤﨑が研究した窒化ガリウムについては、当時、多くの研究者が難しさから撤退していたと本人の研究史にも書かれています。それでも可能性を見いだし、解決すべき技術的な課題を特定して取り組みました。多数派と違う道を選ぶことそのものではなく、根拠を持って課題を追いかけることに意味があったと読めます。

逆張りをすれば成功する、という解釈も正しくありません。人があまり取り組んでいないテーマには重要な発見の可能性もありますが、解決できない障害が残る場合もあります。流行かどうかより、なぜその問題に取り組みたいのかを自分で説明できるかが大切です。

結果が出る前の長い時間をどう考えるか

成果が現れる前に、多くの試行錯誤を重ねなければならない仕事があります。赤﨑の文章には、材料を選ぶ理由、従来の方法では難しい点、そこから技術的な解決法を探す過程が登場します。好きだから続いたという気持ちだけでなく、具体的な検証が続ける根拠になっていました。

一方、努力を続けても必ず成果が出るとは限りません。赤﨑の研究が大きな成功を収めたからといって、すべての挑戦が同じ結末に至るわけではないのです。成功者が過去を振り返った言葉から、未来の成功率を保証する法則を作らないことも大切でしょう。

続けるためには、休むことや、他者の力を借りることも必要です。研究や仕事で身体を壊したり、必要な生活条件を失ったりすれば、長期的な挑戦が難しくなります。諦めないことを他人に強制するのではなく、自分の目的と条件に照らして選び直すという視点も持ちたいものです。

勉強や仕事に活かす具体的な考え方

何を学ぶか迷ったときは、周囲で人気のある分野を選ぶ前に、自分が自然に調べたくなる問いを探してみる方法があります。すぐに成果が出なくても、調べ続ける価値を感じられるかを考えます。好きな肩書ではなく、取り組みたい問いを見つけるという発想です。

仕事でも、流行している手法を導入することが目的になってしまう場合があります。その前に、自分たちは何を解決したいのか、既存の方法ではどこが足りないかを確かめると、判断しやすくなります。新しい方法を選ぶ理由が、目的と結び付いているかを問い直すのです。

また、失敗した結果を隠したり忘れたりせず、何がうまくいかなかったかを記録しておくと、次の試行につながります。関連する赤﨑の考え方は、「一番大事なことは好奇心」や「研究に王道なし」を解説した記事でも紹介しています。好奇心、実験、継続という異なる側面を読み比べられます。

まとめ――好きだからこそ、難しい問いを選ぶ

赤﨑勇の「流行にのらず、自分が本当に好きなことをやりなさい」という一文は、2014年10月7日の報道と2020年2月の政府関係資料で本人に帰属する形で確認できます。単なるネット上の引用ではなく、媒体と時期が特定できる掲載です。

また、2011年5月に本人が執筆した『學士會会報』の文章は、青色LEDの研究にどんな技術的困難があったかを具体的に伝えています。言葉の背景には、流行への反発ではなく、自分で可能性を考え、試し続けた研究の積み重ねがありました。

今日の仕事や学びでは、他人が選んでいるからという理由だけで目標を決めず、何を解決したいのかを問う姿勢に置き換えられるでしょう。自分の関心を大切にしながら、現実の根拠と検証から目をそらさないことが、この言葉から学べる教訓です。

出典状態と検証の限界

文言の掲載先:withnews(朝日新聞系、2014年10月7日)で、赤﨑による若者へのメッセージを確認。内閣府関係会議「資料3-1」(2020年2月19日)の2ページ目にも同趣旨の言葉が掲載され、教育目的で参照されています。

本人執筆の一次資料:赤﨑勇「青色発光素子の開発を諦めずに挑み続けられたのは何故か」『學士會会報』第888号(2011年5月)。研究着手の時期と技術的背景を本人の記述から確認できます。この寄稿で冒頭の短い言葉の逐語一致を確認したという意味ではありません。

判定:報道と公的資料に文言の掲載があるため「掲載媒体の出典確認済み」。会見の原音声・最初の発言日時・2014年報道以前の文言の掲載については引き続き「要検証」です。発言の初出を特定したとは主張しません。画像・映像・長い原文は転載していません。出典ステータスの読み方をご確認ください。

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