「知識より創造力が大切だ」という言葉を、当サイトでは以前、飯島澄男本人の名言として掲載していました。しかし名城大学の講演報告では、飯島がアインシュタインの言葉として紹介したものと記録されています。紹介した人と、紹介された言葉の帰属先を分ける必要があります。
名城大学の講演報告で確認できること
名城大学が2024年1月22日に公開した報告は、前日に行われた理工同窓会創立60周年の記念講演を扱っています。飯島は「科学はみることから始まる~カーボンナノチューブの発見~」をテーマに登壇しました。
報告の末尾では、飯島がアインシュタインと安藤百福の言葉を並べて紹介し、創造について共通する考えを読み取ったと伝えています。この資料は飯島による引用の紹介を確認する根拠であって、引用された二人の原典まで一括して証明する資料ではありません。
したがって、大学の報告にある「知識より創造力が大切だ」を、飯島が独自に作った格言として提示するのは適切ではありません。ただし、飯島が別の機会に同様の考えを述べた可能性まで否定するものではありません。
飯島自身の研究観では、知識も発見の条件に入る
同じ講演報告では、発見に必要なものとして「好奇心」「観測手段」「観察力」「知識」「機会」の五つを挙げたと記録されています。知識を含む複数の条件の上に、発見が生まれるという研究観です。
「知識より創造力」という一節だけを見て、飯島が「知識は不要」と考えていたと読むと、同じ報告の内容と噛み合いません。目の前の現象を捉える手段、違いに気づく観察、蓄えた知識があってこそ、新しい問いを立てられるという読み方ができます。これは報告を踏まえた本サイトの解釈です。
言葉を紹介することと、自分の言葉として語ること
講演で印象的な言葉を聞くと、話した人の名前と一緒に記憶されがちです。しかし「誰が紹介したか」と「誰の言葉として紹介したか」は別の情報です。短い名言ほど、前後にあった帰属の説明が落ちると意味が変わります。
ここから得られる問いは、「知識と創造力のどちらが勝つか」だけではありません。手元の知識は、何に気づくために役立っているか。逆に、知識があるから見落としている前提はないか。そう考えると、二者択一にせず発見の条件を見直せます。これは読者向けの応用であり、飯島本人が同じ問いを提唱したという主張ではありません。
出典と確認範囲
名城大学「飯島澄男終身教授が理工同窓会創立60周年記念事業で講演」(2024年1月22日):講演日時、発見の五条件、アインシュタインと安藤百福の言葉を紹介したという記述を本文で確認しました。講演の録音・逐語録は照合していません。
出典状態:旧掲載の飯島澄男への帰属を訂正。 大学の報告では、他者の言葉を飯島が紹介したものとして記録されています。報告の日本語表現をアインシュタインの原文の逐語訳とは断定しません。
関連する言葉
紹介された言葉の背景を読むには、アインシュタイン「想像力は知識より重要」へ。この記事では1929年インタビューと確認範囲を扱っています。アインシュタイン人物ページからは、本人の言葉と後世の帰属を比較できます。
判定の区分は出典ステータスの読み方、関連記事は出典から名言を探すを参照してください。