「昔の日本の暮らし方みたいなものにして、それをテクノロジーを使って快適に過ごすような。そういう建築があるんじゃないかと僕は思うのです。」
建築家・伊東豊雄が、クリエイティブディレクターの佐藤可士和との対談で述べた言葉です。過去の民家へ単純に戻るのではなく、自然との関係を現代の技術によって組み直すという構想を表しています。
出典は今治タオル公式ブランドサイトの対談
出典は、今治タオル公式ブランドサイトが2018年10月18日に公開した伊東豊雄氏×佐藤可士和氏トークセッション(前編)です。「ブランディングも、欧米が生んだ概念なんですよね」と題された節で、話者名が「伊東」と明記されています。
対談で伊東は、日本の近代建築が欧州の思想を強く取り入れ、自然から切り離された空間をつくる方向へ進んだと批判します。これは本人が語った建築観であり、すべての日本建築や欧州建築についての普遍的な事実と扱うものではありません。
その上で、壁を厚くして自然を遮断する方向ではなく、昔の日本の暮らしのように自然へ開きながら、現代の技術で快適さを補う建築を構想しています。
「伝統へ戻れ」ではなく、伝統と技術を組み合わせる
この発言は、昔の家をそのまま復元しようという懐古論ではありません。
伊東は同じ対談で、周囲の環境を内部へ迎え入れながら、温度の調整や除湿も行う建築を考えたいと述べています。自然に開くことと、快適さを技術で支えることを対立させないという点が具体的です。
つまり、過去と現在のどちらかを選ぶのではなく、昔の身体感覚と現代技術を接続するという提案です。
背景には東日本大震災と「みんなの家」がある
同じ対談で伊東は、東日本大震災の被災地で自然とともに暮らしてきた人々と接し、「みんなの家」をつくった経験から、建築の方向が変わったと語っています。
ここで語られるのは、建築の形を美しく見せることだけでなく、そこで暮らし、使う人が何を感じるかを設計の中心に置く転換です。一方、具体的な住宅でどの設計が安全・省エネルギーになるかは、建物の条件や環境によって異なります。この短い発言だけで技術的な優劣までは結論づけられません。
同じ対談の別の場面では、設計から利用後まで人々が関われる建築も話題になります。伊東豊雄「いじりまわせるような建築」の発言と読み合わせると、「自然との関係」と「使い手による継続的な更新」という二つの方向が見えてきます。
出典と判定
一次資料として、今治タオル公式ブランドサイト「伊東豊雄氏×佐藤可士和氏トークセッション」前編(2018年10月18日)を参照しました。記事冒頭の引用は、話者「伊東」の発言から必要な一部だけを抜粋したものです。長い対談文の転載は避け、解説と現代への応用は当サイトの編集上の考察として区別しています。
出典状態:出典確認済み。公式公開された本人対談の掲載日、発話者と該当箇所を確認できました。ただし対談における設計思想の表明と、その思想がすべての建築条件に当てはまるかという実証評価は別です。
引用の判定基準は出典ステータスの読み方にまとめています。