「打てなくても、どうすれば打てるようになるのかなと考えて、何かを思いついて、じゃあやってみようってグラウンドに行く。その一歩目が楽しい」。大谷翔平の言葉として伝わる一節です。結果が出る前の瞬間を「楽しい」と表現している点に特徴があります。今回、2017年刊『不可能を可能にする大谷翔平120の思考』の81ページを出典候補として挙げる読書記録と、2021年のセイコーによる本人インタビューを確認しました。言葉の真正性と、挑戦を楽しむ理由を分けて考えます。
一歩目が楽しい、という言葉はどこから来たのか
『不可能を可能にする大谷翔平120の思考』は2017年にぴあから刊行された、大谷の発言を集めた書籍です。国立国会図書館サーチには著者、出版者、書誌ID、ISBNなどが登録され、版元による書籍紹介も確認できます。
2024年の読書記録には、「打てなくても」と始まる言葉を同書81ページからの引用として紹介する箇所があります。また2023年の『@DIME』掲載記事でも同じ一節が同書に由来する言葉として示されています。これによって、名言サイトだけでは分からなかった候補作品とページが分かりました。
ただし、今回は書籍の原本を開いて81ページの字句・前後の文章を直接確認していません。版の違いや転載時の表記変更も考えられるため、文章全体を逐語的な確定原文として扱わず「要検証」「文言変化・意訳」として管理します。
面白いのは、結果より先に「試したくなる」こと
この一節では、打てないという課題があるにもかかわらず、悩みを抱え続けることではなく、別のやり方を思いついて練習場へ向かう行動が楽しみとして語られています。考えることと身体を動かすことの間にある、まだ結果の分からない時間が中心にあります。
たとえば打撃フォームを変えるなら、どこを変えるかという考えだけでは十分ではありません。実際に試したときの感覚、打球の変化、安定して再現できるかどうかを観察する必要があります。最初の一歩は結果の保証ではなく、仮説を試す入口と考えられます。
2021年には、別の本人インタビューで似た感覚を語っている
セイコーグループは2021年3月25日、創業140周年の記念企画「時問時答」に大谷が出演し、インタビューテキストと音声を公開したと公式発表しています。その問答を転記したアーカイブでは、大谷は技術のコツを発見した瞬間がうれしいと述べ、新しい思いつきが本当に良いかは翌日の練習や試合で分かるという考えを説明しています。
この2021年の発言は、2017年の書籍の文章と同じ発言ではありません。しかし、年を隔てた別のインタビューでも、アイデアを思いつく喜びと、それを試して確かめることを区別して語っているという関連性があります。
なお、2021年のセイコーの音声を今回直接再生したわけではなく、長い問答の具体的な表現については二次的な転記を参照しています。公式発表が保証するのはインタビューの実施と公開であり、個々の引用箇所までは慎重に扱います。
「やってみる」は、適当に繰り返すことではない
何でも試せばよいという標語にしてしまうと、必要な準備や技術の確認が欠けます。練習するほど課題が分からなくなる場合もあれば、身体に負担がかかる方法もあります。だからこそ、何を確かめたいのかを考え、環境や安全性に配慮しながら試すことが大切です。
大谷が2021年の問答で他の選手の映像を観察することも話している点は示唆的です。うまくなるための試みは、思いつきだけから生まれるのではなく、他者の動きを知ること、違いを見つけること、身体で確かめることを含みます。
2023年のインタビューでは、挑戦の楽しさをさらに説明した
日刊スポーツが2023年11月に報じたセイコーとのインタビューで、大谷は野球という競技そのものの楽しさと、プレッシャーのかかる場面で結果を出す楽しさは別の面白さだと語っています。また、自分で決めた目標を達成できたときの喜びにも言及しています。
この別の本人取材を加えることで、楽しさを「成果が出ること」だけに閉じ込めない読み方ができます。日々の練習で新しい可能性を試すこと、実際の試合で結果が出ること、自分の目標に近づくことは、いずれも異なる時間の喜びです。
仕事や学習へ応用するための四つの問い
- いまうまくいっていないことを、具体的な動作・手順へ分けられるか。
- 参考になる他者の方法を見つけたとき、何を変えてみたいのか。
- 最初の安全な試行で、どんな観察結果が得られればよいか。
- 結果が思い通りでなくても、次に試すことをどう決めるか。
これは大谷本人の四つの教えではありません。野球で語られた「試してみたい気持ち」を現在の学習や業務へ置き換えた編集上の提案です。楽しめない人が努力不足だという意味でもありません。
出典確認状況
2017年の大谷発言集の実在は出版社・国立国会図書館の資料で確認でき、読者が81ページを出典候補として挙げていることも確認しました。2021年と2023年の本人インタビューには、試す楽しさに関連する別の発言があります。ただし、2017年の書籍現物と2021年の音源を直接照合していないため、逐語原典の確定は保留し、要検証として残します。
参考資料
- 国立国会図書館『不可能を可能にする大谷翔平120の思考』(2017年):書籍の刊行・所蔵情報
- ぴあ株式会社「大谷翔平120の思考」重版告知(2021年):出版社による原著の説明
- 読書記録「大谷翔平から学ぶマインドセット」(2024年):一節の候補ページを81ページとする二次的な抜粋
- @DIME「大谷翔平のような天才に共通する性格とは?」(2023年):『120の思考』からの同趣旨の引用
- セイコーグループ「時問時答」公開告知(2021年):大谷本人へのインタビューの実施を確認する公式資料
- 日刊スポーツ「挑戦を楽しむ原動力」(2023年11月):楽しさの種類についての別の本人インタビュー
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技術を発見した瞬間の話については「上達する瞬間は一瞬」で解説しました。本記事では、課題を前にして新しい試みへ向かう最初の一歩に焦点を当てています。出典ステータスガイドも併せて参照してください。

「次はこうすれば変わるかもしれない」。まだ確かめていない小さな可能性に目を向けることは、結果が出た後の喜びとは違う面白さを持ちます。大谷の言葉が伝えるのは、成功した人の後知恵だけではなく、未知の結果へ向かって試しに行くその瞬間の楽しさです。