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『宇宙戦争』1898年原作のあらすじと結末|火星人を倒したのは人類ではなかった

はじめに――『宇宙戦争』の火星人はどうやって倒されたのか

巨大な三脚型の機械に乗った火星人が地球を攻撃する。H・G・ウェルズの『宇宙戦争』(The War of the Worlds)は、後の映画やSF作品に大きな影響を与えた古典です。しかし原作を最後まで読むと、人類がより強い武器を開発して火星人を打ち負かしたのではないことに驚かされます。

原作では、火星人は地球の細菌に対する抵抗力を持たず、侵略を続ける間に病原体の影響で死にます。最後に勝敗を決めるのは人間の軍事力ではなく、侵略者の知らなかった地球の生物学的な環境です。単に「風邪をひいた」と説明すると、作品の意味が狭くなります。

本記事は1897年の雑誌連載を経て1898年に刊行された小説を、Project Gutenbergの英語本文と1898年刊本の書誌資料から確認します。映画・ラジオドラマ・ゲームの結末ではなく、最初の小説の最後の章に書かれたことを基準に解説します。

1897年連載・1898年刊本――原作と映像版の違い

『宇宙戦争』は英国の作家H・G・ウェルズによる小説で、1897年に雑誌に連載され、1898年に書籍として刊行されました。Project Gutenbergの原文は「Book One」「Book Two」の二部構成になっています。物語の前半が火星人の到来、後半が火星人の支配下に置かれた地球という視点で進みます。

物語の語り手は天文学や自然科学に関心のある人物ですが、名前は明示されません。妻と暮らしていた英国の町ウォーキング周辺で、最初の異変に気づきます。特別な軍隊の司令官ではなく、日常生活を営んでいた人物の目から侵略が描かれることが恐怖を強めます。

1898年版はWikisourceに書誌と紙面をたどれる形で公開されていますが、後年の電子テキストと行ごとの異同をすべて調査したわけではありません。刊年を特定する資料と、今回具体的な筋を確かめた英語本文とを分けることで、版の差を必要以上に無視しないようにします。

火星から落ちてきた円筒――熱線と三脚機械

物語の始まりでは、火星から地球へ向けて何かが発射され、英国の荒れ地に円筒状の物体が落下します。人々は隕石や不思議な機械だと思い、好奇心から集まります。しかし中から現れた火星人と接触したとき、事態は一変します。未知の存在と交流できるかもしれないという期待が、圧倒的な暴力に変わるのです。

火星人は熱線を使って人を焼き払い、巨大な三脚型戦闘機械によって軍隊にも優位に立ちます。さらに黒い煙のような兵器も用いられます。当時の人間が知る軍事技術では対応が難しい相手として、侵略者の圧倒的な力が描かれています。

語り手は妻を安全な場所へ逃がそうとしますが、状況が崩れる中で離れ離れになります。逃げる人々や破壊された町が次々に描かれるため、冒険を楽しむだけではなく、突然生活を奪われる人の不安を考えさせる作品でもあります。

火星人の支配下――人類は何もできなかったのか

軍隊は抵抗を試み、海岸近くでは軍艦サンダー・チャイルドが火星人の機械と戦う場面もあります。しかし、局地的に反撃できたからといって、地球全体の侵略を止められるわけではありません。人間の勇気と、戦況を変えるだけの力を持っているかは別という現実が描かれます。

語り手は廃墟の建物に隠れ、火星人の生活や人間への扱いを観察することになります。彼は彼らの能力を理解しようとしますが、いつ発見されるか分からない恐怖にさらされます。観察する科学的な態度だけで、直ちに身の安全が得られるわけではありません。

物語の冒頭で語り手は、欧州の人々が別の土地の住民や動物をどう扱ってきたかを振り返っています。火星人の侵略は、人間が自分より弱い存在を支配した歴史を逆の立場から想像させる仕掛けでもあります。技術的に優位にあることは、相手を支配してよい理由にはならないという問いが残ります。

原作の結末――地球の細菌が火星人を死に至らせる

第二部「Dead London」で、語り手は人影の消えたロンドンを歩き、火星人の機械が動かなくなっていることに気づきます。そして、火星人たちが死んでいる光景を発見します。地球人の反攻作戦が成功した後の光景ではなく、侵略者が別の原因ですでに倒れていたのです。

本文は、火星人が地球上の腐敗や感染に関係する細菌に抵抗力を持たなかったため、侵略を進める中で死んだと説明します。これは小説の中の設定であり、現実に火星から生命が来たとき必ず同じことが起きるという科学的予測ではありません。「火星人はただの風邪で死んだ」という短い説明より、異なる環境への適応の問題として読む方が正確です。

第二部の結末で語り手は、行方を心配していた妻と再会します。二人とも互いに相手が死んだと思っていました。侵略が終わったという大きな出来事だけでなく、離れ離れになった家族の再会という小さな出来事も、物語の結びとして重要です。

エピローグとまとめ――侵略が終わっても残る問い

物語の最後の「The Epilogue」では、火星人が地球の病原体に抵抗できずに死んだという説明にも未解決の問題があると認められます。地球人が生き延びたからといって、宇宙の未知をすべて理解したわけではありません。その不確実さを残す結びは、科学的な問いを考える余地を読者に与えます。

結末では火星人が地球の細菌に対応できず姿を消し、語り手は妻と再会します。技術の力を持つ者が別の環境や他者を理解しているとは限らないという逆転には、人類自身の歴史への問いも重なります。さらに読みたい方にはセーガン「星の材料」の解説と『海底二万里』原作の解説も参考になります。

原典:H. G. Wells, The War of the Worlds(Project Gutenberg英語原文、第二部「Dead London」「The Epilogue」)、Wikisource・1898年刊本の書誌。ウェルズは1946年没で原著の日本での通常保護期間は経過していますが、現代の日本語翻訳・挿絵・映像化作品は別の権利に服します。原文をもとに独自に要約しています。

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