はじめに|迷っているときにもできることがある
「迷いながらでも今できることを精一杯やり遂げよう」。スノーボードの大島ひなのが、2026年6月24日のJOCアスナビ企業説明会で、自分が競技を続けるか悩んだ時期を振り返って語った一節だ。迷いがなくなってから挑戦するのではなく、迷いが残っている時点で行動を選び直すという意味を持つ。
大きな目標を掲げた人でも、思った通りに結果が出なければ立ち止まることがある。自信が失われると、次の目標を考えることすら難しくなる。すぐに答えを出せなくても、当面できることを見極めるという姿勢が、この言葉から読み取れる。
もっとも、努力すれば必ず競技成績が上がるという保証ではない。選手を支える環境や健康状態、指導のあり方も重要になる。本人の選択を尊重しつつ、成功するための万能の公式にしないことが大切だ。
原典|2026年7月9日付JOCアスナビ公式記事
日本オリンピック委員会の「アスナビ:6月24日企業説明会を実施」(2026年7月9日公開)には、大島ひなのの本人スピーチが掲載されている。そこで、競技継続を悩んでいた時期に「迷いながらでも今できることを精一杯やり遂げようと気持ちを切り替え」と述べている。言葉の話者と発言の場、前後の経験を公式の記録で確認できる。
アスナビは、競技生活と仕事を両立したいトップアスリートと企業をつなぐJOCの就職支援事業だ。説明会では選手が自身の経験、強み、目標を紹介した。一般的な自己啓発のために創作された標語ではなく、企業へ自分の歩みを説明する本人の言葉である。
大島はスノーボードのパラレル大回転の選手として紹介されている。世界選手権の出場枠を獲得した経験や、今後の目標を語っているが、出場枠の獲得と大会で頂点に立ったことを同じ実績として扱わないことも原典を読む上で必要だ。
憧れから始まった夢|白馬村での経験
大島は、長野1998冬季大会が開催された長野県白馬村で育ち、遊びからスノーボードを始めた。ソチ2014冬季大会後の祝賀パレードで初めて五輪メダルに触れ、世界の舞台に憧れを抱いたと語る。競技に取り組むきっかけが、身近な地域の出来事と結びついていた。
夢を持った直後から世界水準の力を備えていたわけではない。目指す相手の姿を見ても、日々の練習と結果の間には時間がある。最初の憧れと、競技者としての実力形成を分けて考えると、一節の重さが分かってくる。
また、夢のきっかけは人によって異なる。国際大会に触れられる環境も平等ではない。大島の経験を一つの実例として受け止め、別の進路を選ぶ人を否定する言葉として使わないことが適切だ。
結果が出ない時期|続けるか悩んだ理由
本人は、憧れに向かって進んできたつもりでも思うような成績を残せず、このまま競技を続けてよいのか悩んだ時期があったと語る。競技を続ける意思が最初から揺るぎなかったという物語ではないことが、この言葉の前提にある。
周囲の成績や期待が大きいほど、自分の取り組みが十分か分からなくなることもある。だからこそ、今は何ができるかという問いは、目標を一度に達成する方法ではなく、止まっていた行動を具体的な一歩へ戻すための問いになる。
ただし、不調の原因をすべて選手の心構えに帰することはできない。練習方法、休養、けがの有無や競技環境によって必要な対応は変わる。決断を支えるのは精神論だけではなく、実際の条件を把握して選択することだ。
世界選手権とトップ選手との差
気持ちを切り替えた後、大島は国際大会で世界選手権の出場枠を獲得したと述べている。ところが世界選手権では、憧れていたトップ選手の実力に圧倒された。一つの目標を達成したところで、次の課題が見えてくることを物語る経験だ。
強い選手との差を知ることは、落ち込む理由にも、練習を変える手掛かりにもなる。大島は、相手の強さこそかつて憧れた姿だったと思い出し、世界の頂点を目指す決意を改めた。実力差を認めることと、挑戦する理由を失うことは同じではない。
この話は、遠い目標を掲げ続ければ誰もが達成できるという意味ではない。世界選手権への道のりにも競技特有の条件があり、結果はさまざまな要因に左右される。選手本人が何を選び直したかに焦点を当てることが重要だ。
計画を短期・中期・長期に分ける
帰国後の大島は、コーチやトレーナーと協力してトップ選手との差を分析し、生活とトレーニングを見直したと説明する。さらに目標を短期・中期・長期に分けた。迷った後の行動が、具体的な分析と計画の立て直しへつながっている。
「今できること」に集中するといっても、遠い将来を一切見ないわけではない。長い目標を持ったうえで、現在の練習や生活のどこを変えるべきか考えている。現在への集中と長期の見通しを組み合わせることが、この経験から読み取れる。
また本人は、昨年度に短期目標だったアジアでの頂点に立つことを達成し、ワールドカップ個人枠を獲得したと述べた。今後の目標は別の段階にある。達成済みの経験と、これから達成を目指す計画を区別することも大切だ。
まとめ|迷いの中で行動を選び直す
「迷いながらでも今できることを精一杯やり遂げよう」は、大島ひなのが競技継続に悩んだ後の気持ちの切り替えを語った一節である。答えが出ないときでも、いま手をつけられることを見極めて取り組む姿勢が示されている。
この言葉は、迷いを持つこと自体を弱さとしない。むしろ迷いを自覚した上で、周囲の助けを受けて計画を見直している。行動を続けることと、取り組み方を変えることの両方に価値がある。
原典確認:JOC「6月24日企業説明会を実施」(2026年7月9日)の大島ひなの選手のスピーチ。タグ114根拠:競技継続に悩んだ後の「迷いながらでも今できることを精一杯やり遂げようと気持ちを切り替え」という逐語表現をJOC公式記事で確認。スポーツ選手・指導者の言葉ハブでも別の発言を読める。 関連する選手の言葉として、杉本志功「スノーボードが大好きだという純粋な情熱」では、同じ競技に向かう気持ちと環境を切り開く経験を比較できる。