はじめに
「ある真実を教えることよりも、いつも真実を見出すにはどうしなければならないかを教えることが問題なのだ」。この日本語には、ルソー『エミール』の明確な対応箇所があります。
原典の趣旨は「真理そのものを教えるより、彼自身でそれを発見するためにどう取り組むかを示す」です。
答えを急いで教えない
ルソーは、水中の棒が屈折して曲がって見える例などを使い、子どもが間違えたときに教師がすぐ答えを与えることを戒めます。教師が訂正すれば、その場の正解は得られる。しかし子ども自身の判断力を鍛えたことにはならない。
だから「若者に正しく判断させるには、教師自身の判断を教えるより、彼の判断力を形成しなければならない」とも書きます。
まとめ
この名言は真正なルソーの教育思想に対応します。
知識を所有させるより、知識へ到達する力を育てる。『エミール』で繰り返される、自分の経験と理性を使わせる教育方法を凝縮した一節です。
原典・具体例:ルソー『エミール』第3編、原文公開テキストに、光の屈折によって水中の棒が曲がって見える例と「Il s’agit moins de lui apprendre une vérité que de lui montrer comment il faut s’y prendre pour découvrir toujours la vérité.」という一文を確認できます。教師が即座に棒を水から取り出せば誤解は正せますが、子ども自身が考える機会は減ります。「いつも真理を発見する方法を示す」という流通する日本語はこの文の説明的な訳であり、特定の日本語出版訳の逐語引用ではありません。
『エミール』を他の教育論と読み比べる: 『エミール』作品ガイドでは、子どもの経験と判断力を育てる教育を、欲望・自由・自然の議論と合わせて整理しています。ルソーの人物・作品ガイドからは、『社会契約論』などの著作もたどれます。この一文は『エミール』第3編の教師と子どもの判断力をめぐる説明であり、特定の日本語出版訳の逐語引用ではありません。