はじめに
「われわれのすべての災禍は、我々がひとりきりではいられないことに由来する。」この言葉はショーペンハウアー名義で紹介されることがあります。
ただし、ショーペンハウアー自身の孤独論と、後世に彼の名言として流通する短文は分けて確認する必要があります。今回確認した範囲では、この日本語をショーペンハウアー自身の確実な直言として扱う根拠は十分ではありません。
ショーペンハウアー自身は孤独をどう考えたか
一方で、本人が孤独を重視したことは原典から確認できます。人を社交的にするものの一つとして、孤独や孤独の中で自分自身に耐えられないことを挙げています。また、優れた精神を持つ人が年齢とともに孤独を選ぶという議論も展開しています。
したがって、この流通名言が「ショーペンハウアーらしい」と感じられる理由はあります。しかし、思想内容が近いことと、その一文を本人が実際に書いたことは別問題です。
「その人らしい」が誤帰属を生む
名言では、ある思想家の考え方に非常によく似た言葉が、その人の名前と結びついて定着することがあります。
今回の監査でも、本人の文章、本人が引用した他者の言葉、後世の要約、出典不明の流通表現が同じ「名言」として並んでいる例が見つかっています。
まとめ
「われわれの災いは、ひとりでいられないことに由来する」は、ショーペンハウアー自身の孤独論とよく響き合いますが、今回の確認では本人の直言として確定しません。
内容がその哲学者らしいことと、その哲学者自身が言ったことは別問題です。一方、ショーペンハウアー本人の孤独論には十分な原典があるため、そこへ戻って読む方が彼の思想を正確に理解できます。